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サーモスX vs エルスターS 徹底比較|窓リフォーム、どっちを選ぶ?【2026年版】

サーモスX vs エルスターS徹底比較

窓のリフォームを検討するとき、LIXILの製品ラインで必ず比較対象に挙がるのがサーモスXとエルスターSです。同じメーカーから出ている2製品ですが、フレームの構造が根本的に異なるため、断熱性能・結露のしにくさ・室外への耐久性という3つの軸で明確な差があります。結論から言えば、コストを抑えつつアルミサッシからの大幅な断熱改善を図るならサーモスX(アルミ樹脂複合)、室内側の結露を徹底的に抑えて断熱等級4〜5を目標にするならエルスターS(オール樹脂*が向いています。どちらがより断熱性能を高くできるかという観点ではエルスターSに軍配が上がりますが、費用・施工性・外観デザインのバランスで比べるとサーモスXが選ばれる場面も多くあります。

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サーモスXとエルスターSの基本スペックを比べると?

LIXILのサーモスXは、フレームの室内側を樹脂、室外側をアルミで構成したアルミ樹脂複合サッシです。室内に面する部分に断熱性の高い樹脂を使い、室外に面する部分には耐候性と強度に優れたアルミを使うことで、断熱性能と耐久性を両立させた設計思想を持っています。ガラスはLow-Eペアガラス(アルゴンガス入り)が標準で、熱貫流率の参考値(Uw値)は製品・サイズによって約1.9〜2.3 W/(㎡·K)の範囲に収まります。アルミ単体のサッシと比べると断熱性能は大幅に向上しており、既存のアルミシングルガラス(Uw値6〜7程度)からの変更による体感改善効果は非常に大きくなります。

LIXILのエルスターSは、フレームの全体を樹脂で構成したオール樹脂サッシです。サーモスXとは異なり、室外側も含めてアルミを一切使わないため、フレームを経由した熱の伝わりが根本的に抑えられます。ガラスはサーモスXと同様にLow-Eペアガラス(アルゴンガス入り)が標準ですが、フレームの断熱性能が高い分、熱貫流率の参考値(Uw値)は約1.3〜1.9 W/(㎡·K)と、サーモスXより低い水準を実現しています。同一メーカーの製品でガラス構成がほぼ同じにもかかわらず断熱性能に差が出るのは、このフレーム構造の違いによるものです。

Uw値とは窓1㎡あたり1秒間に逃げる熱量を示す指標で、数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。サーモスXとエルスターSのUw値の差(約0.4〜0.6 W/㎡·K程度)は、住宅全体の暖房負荷に換算すると数千円〜1〜2万円程度の年間の光熱費差に相当するケースが多く、初期費用の差と合わせてトータルコストで判断することが合理的な選択につながります。なお、正確なUw値は製品グレード・サイズ・ガラス仕様によって変動するため、最終的にはLIXILの公式カタログまたはショールームで確認することをおすすめします。

アルミ樹脂複合とオール樹脂、フレーム材質の違いは実生活でどう出る?

サーモスXとエルスターSの差を理解するうえで最も重要な概念が「熱橋(ヒートブリッジ)」です。熱橋とは、熱を伝えやすい部材がフレーム内に存在することで、その部分だけ局所的に熱が通り抜けてしまう現象を指します。

サーモスXの熱橋は、室外側のアルミフレームが熱橋の経路になります。アルミの熱伝導率は樹脂の約1000倍と非常に高いため、室外の冷気がアルミ部分を通じてフレーム全体に伝わりやすい構造です。この熱橋の影響は室内側フレームに出ます。外気が非常に低い冬の朝には、室内側のフレームが他の壁面より冷えやすく、その部分に結露が発生することがあります。LIXILはサーモスXのフレーム内部に断熱材を充填するなどの対策を施していますが、オール樹脂と比べると熱橋の影響を完全に排除することはできません。

エルスターSの熱橋抑制は、フレーム全体を樹脂にすることで実現しています。樹脂は熱を伝えにくいため、室外側から室内側へ熱が逃げる経路が大幅に限定されます。その結果、室内側フレームの表面温度が外気の影響を受けにくくなり、フレーム部分での結露が発生しにくくなります。窓枠に沿ってカーテンを設置しているご家庭では、フレームの結露がカーテン下部を濡らしてカビの原因になることがあります。エルスターSへの変更によってこの問題をほぼ解消できるケースが多いです。

一方、サーモスXが優位に立つのは室外側の耐候性です。アルミは紫外線や風雨に対して非常に強く、色あせや変形が起きにくい素材です。これに対して樹脂フレームは長期間の紫外線にさらされると表面が白くくすんだり、微細な劣化が進む場合があります。LIXILはエルスターSの樹脂フレームに耐候性を高めるための配合や表面処理を施していますが、日射量が多い地域や南向きの窓では、室外側の経年変化に差が出ることがあります。外観の美観を長期間維持したい場合は、この点もショールームで確認しておくとよいでしょう。


断熱性能と補助金:Uw値の差が費用対効果にどう影響する?

断熱性能の差は、補助金の受給額にも直接影響します。国の「先進的窓リノベ事業」は、一定以上の断熱性能を持つ窓への交換に対して補助金が支給される制度で、窓のUw値と面積によって1窓あたりの補助額が算定されます。Uw値が低い(断熱性能が高い)窓ほど補助区分が上位になり、同一面積でも受け取れる補助額が大きくなる仕組みです。

サーモスXのUw値(約1.9〜2.3 W/㎡·K)とエルスターSのUw値(約1.3〜1.9 W/㎡·K)は、補助区分の区切りによっては異なるグループに振り分けられることがあります。補助額の差が材工費の差を上回るケースでは、エルスターSの方が補助後の実質負担額が安くなる逆転現象が起きる可能性もあるため、見積もりと補助額を合わせて試算する必要があります。

費用感の目安として、サーモスXは1窓あたり材工込みで約7〜16万円、エルスターSは約10〜20万円程度が相場です。30坪住宅の窓を12〜16箇所すべて交換する場合、サーモスXで総額100〜200万円前後、エルスターSで140〜260万円前後になるケースが多く、差額は40〜80万円程度になります。この差額と補助金の差・長期の光熱費削減効果を合わせて判断することが、費用対効果の正確な比較につながります。省エネリフォーム補助金の最新情報はこちらで補助制度の詳細を確認できます。

断熱等級への対応という観点では、サーモスXは等級3〜4相当に、エルスターSは等級4〜5相当に対応できる製品です。2022年の省エネ基準改正で等級4が最低基準となったことを受けて、等級5以上を目指すリフォームが増えており、この場合はエルスターSが窓単体でより高い等級に貢献できます。


中古住宅のリフォームで窓材質を選ぶときの考え方

サーモスXとエルスターSのどちらを選ぶかは、現在の窓の状態・住んでいる地域の気候・断熱等級の目標値・建物の外観スタイルという4つの軸を組み合わせて判断するのが合理的です。

サーモスXを優先して検討すべき状況は、現在がアルミシングルガラスまたはアルミペアガラスで、まず大幅な断熱改善を費用を抑えて実現したい場合です。アルミから樹脂複合への変更という意味では、サーモスXへの変更でも断熱性能は非常に大きく改善します。初期費用の差をほかの断熱工事(床断熱・壁断熱など)に回すという判断も有効で、窓だけでなく建物全体の断熱バランスを考えると、窓をエルスターSにするより壁と窓をサーモスXにする方が総合的な断熱等級が上がるケースもあります。また、建物の外観デザインを重視しており、室外側のアルミの色・質感を活かしたい場合も、サーモスXのカラーバリエーションが選択肢になります。

エルスターSを優先して検討すべき状況は、結露の発生とフレームに沿ったカビを本質的に解消したい場合と、断熱等級5以上の達成を明確な目標にしている場合です。特に北向きの部屋や浴室周辺の窓など、結露が慢性的に発生しやすい箇所ではフレームの熱橋を排除できるオール樹脂の差が顕著に現れます。断熱等級5を取得するためには窓全体のUw値を一定以下に抑えることが要件になるため、より低いUw値を実現できるエルスターSの方が要件を満たしやすい構成になります。先進的窓リノベ事業で補助上限に近い金額を受け取りたい場合も、Uw値の低いエルスターSが補助区分で有利になる可能性があります。

窓リフォームと合わせて断熱改修全体を計画している方は、APW330 vs エルスターXの比較記事もあわせて参照してください。LIXILとYKK APの製品間での断熱性能・補助金対応の比較を詳しく解説しています。


カバー工法・内窓追加でどちらが使いやすい?

サーモスXとエルスターSはどちらもカバー工法(外窓交換)と内窓追加の両方に対応した製品ラインを持っていますが、施工性の面で若干の差があります。

**カバー工法(既存サッシ枠の上から新サッシを被せる工法)**では、サーモスXのアルミ部分が既存枠への固定を助ける場合があります。アルミは剛性が高く薄くても形状を保てるため、カバー工法に使われるアダプター枠との相性が良い設計になっています。エルスターSもカバー工法に対応していますが、樹脂フレームの方がやや肉厚になる製品があり、開口の有効寸法に影響することがあります。実際の施工可否は既存の窓枠サイズと製品の適合確認が必要なため、現地調査を業者に依頼することが前提です。

**内窓追加(既存窓の内側にもう1枚追加する工法)**では、サーモスXを内窓として使うケースは少なく、内窓にはLIXILの「インプラス」などの専用製品が用いられます。内窓追加の場合、外窓のフレーム材質(サーモスXかエルスターSか)は工法の選択に直接影響せず、既存の外窓がまだ気密性を保っている場合に費用を抑えて断熱性を上げる手段として採用されます。

どちらの工法が適しているかは、既存サッシの劣化状態で変わります。既存サッシが腐食・ゆがみ・気密の大幅な劣化を起こしている場合はカバー工法での外窓交換が根本解決になり、外窓がまだ健全であれば内窓追加で費用を大幅に抑えながら断熱効果を得られます。

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こんな人はサーモスXがおすすめ

サーモスXが最良の選択になるのは、アルミシングルガラスから樹脂複合への変更という大きなステップを費用効率よく実現したい方です。断熱性能で比べるとエルスターSに劣りますが、アルミ単体サッシからの変更としての効果は非常に大きく、多くの中古住宅で体感できる変化をもたらします。

  • 現在がアルミシングルガラスで予算を抑えたい:エルスターSより1窓あたり3〜5万円程度安く済むことが多く、その差額を壁断熱や床断熱などほかの改修に充てられるため、住宅全体の断熱バランスが改善しやすくなります
  • 室外側のアルミの耐候性を重視する:南向きや潮風の多い海沿いなど、室外側の環境が過酷な場所では、アルミフレームの耐候性の高さが長期的な外観維持に直結します
  • 断熱等級3〜4の達成が目標:この等級帯ではサーモスXで十分に要件を満たせるケースが多く、エルスターSとの性能差よりも費用の差が選択の決め手になりやすいです
  • 外観デザインをアルミの光沢感・シャープさで揃えたい:サーモスXは室外側がアルミのため、他の既存アルミサッシ部分と外観の統一感を出しやすく、全窓一括交換でなく一部のみ交換する場合の外観バランスも取りやすいです

こんな人はエルスターSがおすすめ

エルスターSが真価を発揮するのは、フレームの結露をゼロに近づけたい方と、断熱等級5以上を窓でも貢献させたい方です。オール樹脂が持つ熱橋のなさという構造的な優位性は、特に寒冷地や北向き窓で顕著に体感できます。

  • 窓枠・サッシ周辺の結露・カビが慢性的に発生している:アルミ樹脂複合では室外側アルミを経由した熱橋が残るため、厳冬期にはフレーム部分の結露が発生することがあります。オール樹脂のエルスターSはこの問題を根本から解消できる唯一の選択肢です
  • 断熱等級5以上の取得を明確な目標にしている:エルスターSのUw値はサーモスXより低いため、断熱等級5の要件(窓のUw値が一定以下)を満たすうえで有利な製品です。住宅ローン減税や補助金の上位要件を狙う場合に重要な選択になります
  • 先進的窓リノベ事業の補助額を最大化したい:Uw値が低いほど補助区分が上位になる仕組みのため、エルスターSの方が1窓あたりの補助額が多くなるケースがあります。全窓交換の場合は補助後の実質負担額でサーモスXとの差が縮まることがあります
  • 北海道・東北・甲信越など寒冷地に住んでいる:外気温が−10℃以下になる地域では、フレームの熱橋の有無が体感差に直結します。アルミ樹脂複合では残るフレーム結露をオール樹脂で解消したいニーズが高い地域です

よくある質問

Q. サーモスXとエルスターSは同じLIXILの製品なのに、なぜ断熱性能が違うのですか? A. フレームの構造が根本的に異なるためです。サーモスXは室内側樹脂・室外側アルミのアルミ樹脂複合構造で、アルミが熱橋(熱の逃げ道)になります。エルスターSはフレーム全体が樹脂のため熱橋が大幅に抑えられ、ガラス構成が同じでもUw値(熱貫流率)が低くなります。断熱性能は「ガラスの性能 × フレームの性能」で決まるため、フレームの差がそのまま製品全体のUw値の差になります。

Q. サーモスXとエルスターXはどう違いますか? A. サーモスXはLIXILのアルミ樹脂複合サッシ(室外側アルミ・室内側樹脂)で、エルスターXはLIXILのオール樹脂サッシのより上位グレードに位置する製品です。エルスターXはトリプルガラスを採用することで断熱等級6・7に対応する高性能ラインであり、エルスターSはペアガラス標準のスタンダードラインです。サーモスX・エルスターS・エルスターXの順に断熱性能と価格が上がっていくイメージで整理できます。

Q. 既存のアルミシングルガラスからの変更で、どれくらい光熱費が変わりますか? A. 建物の断熱状態や暖房方式によって大きく異なりますが、アルミシングルガラス全窓からサーモスXまたはエルスターSに全面交換した場合、冬季の暖房費が年間2〜5万円程度削減されるケースが多く報告されています。ただしこの数字は窓からの熱損失の割合・暖房方式・使用時間によって個人差が大きく、あくまで参考値として捉えてください。正確なシミュレーションは施工業者やエネルギー計算ソフトで試算できます。

Q. 内窓(二重窓)追加とサーモスX・エルスターSへの外窓交換、どちらが断熱効果が高いですか? A. 一般的に、外窓交換より内窓追加の方が断熱効果が高くなるケースが多いです。内窓を追加すると外窓と内窓の間に空気層が生まれ、この空気層が追加の断熱層として機能するためです。ただし既存の外窓の気密性が大幅に劣化している場合は内窓追加の効果が限定され、外窓交換が根本解決になります。費用面では内窓追加の方が安く済むことが多いため、まず現地調査で既存サッシの状態を確認してから工法を選ぶ順番が重要です。

Q. ショールームで両製品を比較できますか? A. LIXILの全国のショールームでサーモスXとエルスターSを並べて展示しているケースが多く、フレームの質感・開閉の操作感・ガラスの明るさを実際に比較できます。アドバイザーにUw値・補助金・施工工法・カラーバリエーションについて詳しく質問でき、見積もりの概算も相談できます。2製品の差を理解するうえでショールーム訪問は非常に有効なので、最終決定前に必ず足を運ぶことをおすすめします。

リフォーム・リノベーションを検討している方へ

今日ご紹介した窓サッシなどの住宅設備は、定価こそありますがその価格はリフォーム会社(販売施工会社)の仕入れ力に大きく左右されるところがあります。

いざ見積もりを取ってみると、定価で比べると高かった製品の見積もりと安い製品の見積もりとほとんど価格差がない、あるいは安く出るなんていうこともあったりします。

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これからリフォーム・リノベーションを検討される方は少し手間でも、ぜひ複数社で相見積もりを取ってみることをお勧めします。

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てけ
数年前に中古戸建を購入し、リノベーションを実施。 その際に得た知識や経験をもとに、これからリフォームやリノベーションを検討される方に向けて情報発信しています。
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