給湯器の寿命は10年前後と言われます。ある朝、お湯が出なくなって、慌てて業者に電話をする。そんな状況で、エコキュートにするかエコジョーズにするかを即決できる人は、ほとんどいません。私自身、中古戸建てのリノベーションで給湯器を選ぶとき、カタログの数字を並べても、結局どちらが自分の家に合うのか分かりませんでした。
エコキュートは電気で、エコジョーズはガスでお湯をつくります。この違いがガス代や電気代だけでなく、設置スペース、災害時、補助金にまで連鎖します。この記事では、その連鎖を一つずつほどきながら、リフォームでどちらを選ぶかの判断軸を整理します。

早見表:エコキュートとエコジョーズの違いは、熱の取り方にある
エコキュートは、空気中の熱を集めてお湯をつくるヒートポンプという仕組みです。エコジョーズは、ガスを燃やしてお湯をつくる点は従来のガス給湯器と同じですが、捨てていた排気の熱を再利用します。
ここで押さえたいのは、どちらも省エネ型ですが、省エネの取り方がまったく違う点です。
| 比較項目 | エコキュート | エコジョーズ |
|---|---|---|
| エネルギー | 電気と空気の熱 | ガス |
| お湯のつくり方 | 夜間にタンクへ貯める | 使うときに瞬間的に沸かす |
| 効率の目安 | 使った電気の約3倍の熱 | 給湯の熱効率が最大約95% |
| 交換費用の目安 | 工事費込みで約33〜53万円 | 約15〜25万円 |
| 設置スペース | 貯湯タンクとヒートポンプが必要 | 壁掛けや据置きで小さい |
| 国の補助金 | 給湯省エネ2026事業の対象 | 対象外 |
費用の数字は、リフォーム販売店が公開している相場の目安です。実際の見積もりは、現地調査で変わります。
仕組みの違い:効率の数字の意味を、暮らしに置き換える
エコジョーズの熱効率は最大約95%と説明されます。従来のガス給湯器は約80%が限界でした。排気に捨てていた水蒸気の熱を、二次熱交換器で拾い直すことで、差が出ています。リンナイは、従来型と比べてガス使用量が約13%減るとしています。
平たく言えば、同じお湯をつくるのにガスを1割ちょっと少なく使える、ということです。給湯の使用量が多い家ほど、この差は積み上がります。
エコキュートは、空気の熱を集める仕組みなので、電気の約3倍の熱を得られる、と一般に説明されます。エネルギー消費効率の指標であるCOPは、おおむね3.0から4.0前後です。数字だけ見るとエコキュートのほうが圧倒的に有利に見えます。ただし、それはあくまで電気の単価が安い夜間にお湯をつくる前提での話です。電力プランや在宅時間で、実際の光熱費は変わります。
エコジョーズには、もうひとつ知っておきたい特徴があります。排気の熱を回収した結果として、酸性の水、いわゆるドレン排水が出るのです。pH3程度の酸性で、中和器を通してpH7程度にしてから排水します。中古戸建てでは、この排水をどこに流すかが施工の論点になることがあります。
費用と補助金:初期費用は倍近く違うが、補助金の差が縮める
交換費用は、エコキュートのほうが高くなります。370Lタイプで工事費込み約33万円から53万円、460Lタイプではさらに幅があり、上は88万円に近い例もあります。エコジョーズは約15万円から25万円が相場で、標準工事費は4万円から7万円ほどが一般的です。
ここで補助金が効いてきます。給湯省エネ2026事業の対象機器は、次の3つだけです。
- ヒートポンプ給湯機、つまりエコキュートです。
- 電気ヒートポンプとガス瞬間式を併用するハイブリッド給湯機です。
- 家庭用燃料電池のエネファームです。
エコジョーズは、この事業の対象に入っていません。公式ページで確認できる補助額は、エコキュートで1台あたりの基本額が7万円です。さらに、一定のCO2削減などを満たす機種には3万円が加算されます。最大で10万円になる計算です。撤去加算の措置もありますが、額は本記事では確認できていないため、公式ページで確認してください。
もうひとつ重要なのが、予算の残りです。公式ページによると、2026年9月21日時点で、全体の補助金申請額は予算の45%、撤去加算は22%が消化されています。予算に達すると受付は終了します。年内の工事なら、余裕があるうちに動いておくのが安全です。
みらいエコ住宅2026事業のほうは、公式ページ上でガス給湯器とエコジョーズは対象外とされています。国の補助金は、エコキュート側にだけ用意されていると考えて選ぶのが分かりやすいです。制度全体は、省エネリフォーム補助金の比較記事にまとめています。
補助金を差し引くと、初期費用の差はかなり縮まります。とはいえ、縮まっても数万円から十数万円は残ります。この差を、毎月の光熱費で何年かけて取り戻せるかが、次の判断材料です。
設置条件:中古戸建てでいちばん見落とされやすい部分
エコキュートは、貯湯タンクとヒートポンプの2つの機器を置きます。目安の設置スペースは、幅2100mm前後、奥行き750mm前後と言われています。さらに、地震でタンクが倒れないよう、基準を満たした基礎も必要です。
中古戸建てで確認したいのは、次の3点です。
- 置き場所の幅と奥行きを、現地で実測します。理由は、隣家との境界が狭い家は、目安のスペースが取れないことがあるからです。
- 既存の基礎が使えるかを確認します。理由は、ガス給湯器からの交換では、基礎の新設が必要になり、費用が上乗せされるからです。
- 運転音の出る位置を確認します。理由は、ヒートポンプが夜間に動くため、寝室や隣家の窓が近いと気になることがあるからです。
エコジョーズは、壁掛けや据置きで、必要なスペースが小さいです。ガス給湯器がすでに付いている家なら、同じ場所で交換できるケースが多く、工事も小さく収まります。ただし、ドレン排水の処理方法は確認が必要です。
湯量と災害時:貯めるか、その場で沸かすか
エコキュートは、お湯をタンクに貯めて使います。370Lタイプで、洗面やキッチンの使用、お風呂1回分、シャワー数回分をまかなえる計算です。ただし、学習機能でお湯の使用量に合わせて沸かしていても、急にいつもより多く使うと湯切れが起こります。家族の人数が変わる、来客が増える、といった場面で意識しておきたい点です。
エコジョーズは、使う瞬間に沸かすので、湯切れという概念がありません。何人続けて入浴しても、お湯は出続けます。
災害時の強みは、それぞれ違います。エコキュートは、非常用取水栓が標準で付いており、貯湯タンクの水を生活用水として取り出せます。断水時のトイレの洗浄や、体を拭く水として使えます。飲み水にはしない、という注意もあります。一方で、停電するとお湯は沸かせなくなります。
エコジョーズは、停電すると運転できない点は同じです。ガスが止まれば使えません。どちらも万能ではないため、備えとしては、ガスと電気のどちらが先に復旧しやすい地域かを含めて考えます。
ランニングコスト:オール電化にするかどうかで答えが変わる
光熱費の差は、単純にエコキュートが安い、とは言い切れません。ここは正直に言って、家庭ごとの条件で結果が変わります。
エコキュートが有利になるのは、次のような家庭です。夜間の電力が安いプランを契約している、日中の在宅が多く太陽光発電がある、ガスの基本料金をなくしてオール電化にできる、といった条件です。
エコジョーズが有利になるのは、すでに都市ガスが通っていて、キッチンのコンロもガスを使い続ける家庭です。ガスの基本料金は、どのみち残るからです。コンロについてはIHとガスコンロの比較記事で解説しています。
つまり、給湯器だけで比べず、コンロと契約プランまで含めて、家全体の光熱費として考えるのが実用的です。
リフォームで選ぶときの考え方
新築ならゼロから設計できますが、リフォームでは、いまの家の条件が前提です。次の順番で考えると、迷いにくいです。
- 現在のガス契約と、コンロの熱源を確認します。理由は、ガスを残すのか、なくすのかが最初の分かれ道だからです。
- 置き場所の実測と、基礎の状態を確認します。理由は、エコキュートが物理的に置けるかどうかが決まるからです。
- 補助金の予算残と、着工時期を確認します。理由は、エコキュートの補助が数万円単位で費用を変えるからです。
- 家族の人数と、入浴の時間帯を書き出します。理由は、370Lか460Lかの判断が、湯切れの起きやすさを左右するからです。
水回り全体の予算感は、水回りリフォーム費用まとめも参考にしてください。給湯器だけを見るより、キッチンや浴室と同時に考えると、配管工事の無駄を減らせます。

こんな人はエコキュートがおすすめ
- オール電化にして、ガスの基本料金をなくしたい人。固定費を減らせるからです。
- 補助金を使って初期費用を抑えたい人。給湯省エネ2026事業の対象だからです。
- 夜間電力の安いプランを使える人。お湯を安い時間帯にまとめて沸かせるからです。
- 災害時に、生活用水の備えがほしい人。貯湯タンクの水を取り出せるからです。
こんな人はエコジョーズがおすすめ
- 初期費用をできるだけ抑えたい人。交換費用の相場が、エコキュートより低いからです。
- 置き場所が狭い人。壁掛けや据置きで、スペースを取らないからです。
- 湯切れの心配をしたくない人。使う瞬間に沸かすので、お湯が出続けるからです。
- ガスコンロを使い続ける人。ガスの基本料金が残るなら、給湯もガスにまとめやすいからです。
エコキュートかエコジョーズかは、給湯器単体の性能より、家のガス契約と置き場所で決まります。まずは現地調査を頼んで、置き場所と基礎を確認してもらい、両方の見積もりを取るところから始めてください。
よくある質問
Q. エコジョーズは、給湯省エネ2026事業の補助金の対象になりますか?
A. 対象外です。対象機器はエコキュート、ハイブリッド給湯機、エネファームの3種類で、エコジョーズは含まれていません。みらいエコ住宅2026事業でも、ガス給湯器とエコジョーズは対象外です。
Q. エコキュートの補助額はいくらですか?
A. 公式ページでは、1台あたりの基本額が7万円、一定の要件を満たす機種に3万円が加算されます。予算に達すると受付が終了するため、申請前に公式サイトで残りの状況を確認してください。
Q. エコジョーズのドレン排水は、そのまま流して大丈夫ですか?
A. ドレン排水は酸性のため、中和器を通して中性にしてから排水します。排水先の配管の材質や場所は、施工前に業者へ確認してください。
Q. エコキュートは、停電のとき使えますか?
A. お湯を沸かすことはできませんが、非常用取水栓から貯湯タンクの水を取り出せます。トイレの洗浄などの生活用水として使えます。
Q. 370Lと460Lは、どちらを選べばいいですか?
A. 家族の人数だけでなく、入浴の頻度やシャワーの使い方で変わります。370Lで洗面やキッチン、お風呂1回分、シャワー数回分をまかなえる計算なので、これを超える日が多いかを、家族の入浴パターンを書き出して業者に相談してください。

