ハウスメーカーの仕様書にはTWと書いてあるのに、ネットの口コミや施工ブログではサーモスXの名前ばかり出てくる。内覧した築浅の中古住宅の設備表には、サーモスXと書いてあった。どちらも同じLIXILのハイブリッド窓なのに、何が違うのか分かりにくいんです。
先に大事な事実をお伝えします。サーモスXは2015年に発売され、2022年に後継の高性能窓TWへ切り替わりました。いま新しく注文できるのはTWで、サーモスXは販売が終わった旧モデルです。
だからこの比較は、どちらを買うかという2択ではありません。後継のTWで何が良くなったのか、そしてサーモスXが付いている家をどう評価すればいいのか。私自身、中古戸建てを買ったときに既存の窓の性能をどう見ればいいのか分からず困った経験があるので、その視点も含めて整理します。新築の仕様決めでも、中古住宅のリノベでも、見るべきポイントは同じです。
サーモスXとTWの関係は?
TWは、サーモスXの後継として2022年に登場したアルミ樹脂複合窓です。室外側がアルミ、室内側が樹脂のハイブリッド構造という基本は同じで、断熱性能とデザインを一段引き上げたモデルチェンジと考えると分かりやすいです。
サーモスXは、2014年8月にLIXILが発表し、2015年3月1日に発売されました。当時の発表では、アルミ樹脂複合窓として国内最高の断熱性能をうたっていた製品です。その後、2022年1月の業界紙の報道で、TWはサーモスXの切り替えとなる商品だと伝えられています。
いまのLIXILの窓シリーズ商品のページには、TW、サーモスⅡ-H/L、樹脂窓EW、レガリス、サーモスAが並んでいて、サーモスXは掲載されていません。見積もりや仕様書にサーモスXと書かれていたら、古い資料のまま進んでいないか確認したほうが安全です。
主な違いを一覧にしました。

| 比較項目 | サーモスX | 高性能窓TW |
|---|---|---|
| 位置付け | 2015年発売、販売終了 | 2022年に後継として登場、現行品 |
| フレーム | 室外アルミ、室内樹脂のハイブリッド | 同じ構造で、フレームをさらにスリム化 |
| 熱貫流率の代表値 | 1.05W/(㎡・K) | 0.98W/(㎡・K) |
| トリプルガラス | 中間に1.3mmの特殊薄板ガラス | 同じ特殊薄板ガラスを継承 |
| 大開口・デザイン | スリムフレームで採光面積を確保 | 引違い4枚建の合掌部を半分の幅に、高さ2.7mのサイズも用意 |
| 新規の注文 | 不可 | 可能 |
熱貫流率は、どちらも縦すべり出し窓のクリプトンガス入りLow-Eトリプルガラス仕様での、LIXILの社内試験値です。
断熱性能はどれだけ上がった?
窓全体の熱の逃げにくさを示す熱貫流率は、サーモスXの1.05W/(㎡・K)から、TWでは0.98W/(㎡・K)に下がりました。数字が小さいほど熱を通しにくい窓です。
熱貫流率とは、窓1㎡あたり、室内外の温度差1℃につき、1時間にどれだけの熱が通り抜けるかを表す値です。ガラスだけでなくフレームも含めた窓全体の値なので、Uw値とも呼ばれます。
この2つの数字は、比べ方として公平です。どちらも同じ縦すべり出し窓で、同じクリプトンガス入りのLow-Eトリプルガラスという条件の社内試験値だからです。カタログの数字は窓の種類やガラスの構成で大きく変わるので、条件がそろっていない数字同士を比べると判断を誤ります。
では、1.05から0.98への改善はどのくらいの差なのでしょうか。割合にすると約7%です。窓から逃げる熱が1割弱減る計算で、体感できるほど劇的な差ではありません。
正直に言って、ここは冷静に見たほうがいいポイントです。サーモスXもTWも、一般的なアルミサッシと比べれば別次元の性能です。サーモスXが付いている家に住んでいるなら、TWが出たからといって交換を急ぐ理由にはなりません。
一方で、これから新築やリノベで窓を選ぶ立場なら話は別です。同じハイブリッド窓で性能が上がっているので、選べるのはTWだけですし、その恩恵はそのまま受けられます。
TWには複層ガラスの仕様もあり、アルゴンガス入りで1.44W/(㎡・K)です。トリプルガラスを選ぶかどうかで、窓の性能は大きく変わります。TWと名前が付いていてもガラスの仕様で性能が違う点は、見積もりで必ず確認してください。
変わらなかったもの:特殊薄板ガラスとハイブリッド構造
TWは、サーモスXの中核技術をそのまま受け継いでいます。いちばん大きいのが、トリプルガラスの真ん中に1.3mmの特殊薄板ガラスを挟む構造です。
サーモスXの発表当時、LIXILはこの特殊薄板ガラスを業界初と紹介していました。3mm、1.3mm、3mmのガラスを組み合わせることで、トリプルガラスでも従来のLow-E複層ガラスと変わらない重さに抑えたのが特徴です。TWの公式ページでも、中間ガラスに1.3mmの特殊薄板ガラスを使い、断熱性と軽さを両立したと説明されています。
軽さは、暮らしの中では窓の開け閉めのしやすさに出ます。トリプルガラスは重くなりがちで、大きな引違い窓になるほど開け閉めが重く感じられます。毎日何度も開け閉めする窓だからこそ、ここは地味に効いてくる部分です。
フレームの考え方も共通しています。室内側にアルミの約1,000分の1しか熱を伝えない樹脂を使い、フレームの中に空気の層をたくさん設けた多層ホロー構造で熱を伝えにくくしています。室外側がアルミなので、フレームを細くしても強度を保てるのがハイブリッド窓の強みです。
デザインと開放感の変化は?
TWで分かりやすく変わったのは、大きな窓まわりのデザインです。引違い窓の4枚建ではスレンダーマリオンという新しい構造を採用し、中央の合掌部の幅を従来の半分にしました。
引違いの4枚建は、リビングの掃き出し窓でよく使われます。中央の合わせ目の縦フレームが太いと、外の景色が真ん中で分断されて見えます。TWでは、この部分がほかの縦フレームと同じ幅にそろうので、正面から見たときの視界がすっきり広がります。
もうひとつが、高さ2.7mの引違い窓です。天井高2.7mの部屋で、床から天井までの窓にできるサイズが用意されています。従来の一般的な天井高2.4m、窓の高さ2.0mと比べると、部屋の奥まで光が届きやすくなります。
LIXILは、フレームのスリム化によってガラス面積を30%拡大したとも説明しています。これは縦すべり出し窓の特定サイズでの比較なので、すべての窓で30%広がるわけではありません。とはいえ、フレームが細いほどガラスが広くなり、同じ大きさの窓でも明るく感じられるのは確かです。
外観の色には、TWでダスクグレーという新色が加わりました。グレー系の外壁に合わせやすい、落ち着いた色味です。
補助金のグレードはどうなる?
リフォームで窓を交換する場合、先進的窓リノベ2026事業の補助額は、窓の性能グレードと大きさ、工法で決まります。TWのクリプトンガス入りトリプルガラスは熱貫流率0.98で、最上位のSSグレードの基準である1.1以下に入ります。
グレードの基準は、熱貫流率1.1以下がSS、1.5以下がS、1.9以下がAです。環境省の単価表では、戸建て住宅でカバー工法により中サイズの窓を交換すると、SSグレードで13万8,000円、Sグレードで9万2,000円が補助されます。はつり工法の中サイズでは、SSが11万円、Sが6万8,000円です。
| 工法と大きさ | SSグレード | Sグレード |
|---|---|---|
| カバー工法 特大 | 23万9,000円 | 15万6,000円 |
| カバー工法 大 | 18万8,000円 | 12万4,000円 |
| カバー工法 中 | 13万8,000円 | 9万2,000円 |
| はつり工法 中 | 11万円 | 6万8,000円 |
1戸あたりの補助上限は100万円です。ここで注意したいのが、実際のグレードは製品ごと、サイズごとの性能証明で決まる点です。TWでも複層ガラスの仕様やサイズによっては、SSに届かないことがあります。
リフォーム向けには、既存の窓枠を残したまま新しい窓を取り付けるリプラスという商品で、TWタイプが用意されています。2024年2月に発売されたリプラスの居室仕様TWタイプは、熱貫流率1.5で、当時の制度でSグレードの対象とされていました。参考価格は、幅1,650mm、高さ1,100mmの2枚建で28万3,900円、工事費は別です。
補助金全体の仕組みは窓・サッシリフォーム費用相場の記事で、工法ごとの費用とあわせて解説しています。
新築で選ぶ場合とリフォームで選ぶ場合
新築でもリフォームでも、いま選べるのはTWです。ただ、判断のポイントは立場によって変わります。
新築で選ぶ場合は、仕様書の製品名とガラスの仕様を確認することが第一です。TWという名前でも、トリプルガラスか複層ガラスかで熱貫流率は0.98と1.44ほど違います。仕様書にサーモスXと書かれていたら、古い仕様書のままではないかを住宅会社に確認してください。新築は窓の配置を自由に決められるので、TWの高さ2.7mのサイズや4枚建の引違いを活かした大開口を計画しやすいのも利点です。
リフォームで選ぶ場合は、中古住宅にもともと付いている窓が何かによって考え方が変わります。
- 既存の窓がサーモスXかどうかを確認します。理由は、2015年から2022年ごろの築浅住宅では、すでに高性能なハイブリッド窓が付いている可能性があるからです。
- サーモスXなら、ガラスの仕様を確認します。理由は、トリプルガラスか複層ガラスかで断熱性能が大きく違い、交換の必要性が変わるからです。
- サーモスXのトリプルガラスなら、窓の交換は優先度を下げます。理由は、TWとの差は約7%で、同じ費用を壁や床の断熱に回したほうが効果が大きいことが多いからです。
- アルミサッシの窓が残っている部屋から、TWやほかの高性能窓への交換を検討します。理由は、性能の低い窓ほど、交換したときの改善幅が大きいからです。
ありがちなのが、中古住宅の窓をすべて同じように交換しようとして、予算を使い切ってしまうパターンです。窓の銘板やガラスの刻印を見れば、製品やガラスの種類が分かることがあります。購入前の内覧で確認しておくと、リノベの予算配分がぐっと立てやすくなります。
窓の選び方をさらに比べたい方は、TWとオール樹脂の窓を比べたLIXIL TW vs EWの比較記事や、YKK APの樹脂窓と比べたAPW330とサーモスXの比較記事も参考にしてください。
あなたの場合はどうする?
5つの軸で並べると、TWが後継としてすべての面で同等以上であることが分かります。そのうえで、サーモスXが付いている家では、無理に替える必要がない点も見えてきます。

評価は、LIXILの公表値と発表資料をもとにした当サイトの整理です。サーモスXはトリプルガラス仕様を想定しています。
こんな人はTWを選ぶ
- これから新築やリノベで窓を注文する人です。サーモスXは販売が終わっていて、選べるのはTWだからです。
- リビングの大開口にこだわりたい人です。4枚建の合掌部がスリムになり、高さ2.7mのサイズも選べるからです。
- アルミサッシの窓を交換する人です。クリプトンガス入りトリプルガラスならSSグレードの基準に入り、補助額が大きくなるからです。
- グレー系の外壁で外観をまとめたい人です。新色のダスクグレーが選べるからです。
こんな人はサーモスXのままでよい
- 購入した中古住宅に、サーモスXのトリプルガラスが付いている人です。TWとの断熱性能の差は約7%で、交換費用に見合いにくいからです。
- リノベの予算を壁や床の断熱に回したい人です。窓より断熱の弱い部位を先に直したほうが、家全体の暖かさが上がりやすいからです。
- 窓まわりの不具合が特にない人です。開け閉めや気密に問題がなければ、部品の調整やメンテナンスで長く使えるからです。
サーモスXかTWかで迷ったら、まずは自分の家や仕様書の窓が本当はどの製品で、どのガラスなのかを確かめるところから始めてください。そのうえで、交換する窓と残す窓を分け、補助金の対象になるかを施工店と一緒に確認するのが近道です。
よくある質問
Q. サーモスXはもう買えないのですか?
A. サーモスXは2022年に後継の高性能窓TWへ切り替わっており、現在のLIXILの窓シリーズ商品のページには掲載されていません。新しく窓を注文する場合は、TWが後継の選択肢になります。
Q. サーモスXとTWの断熱性能の差は、どのくらいですか?
A. 縦すべり出し窓のクリプトンガス入りLow-Eトリプルガラスという同じ条件で、サーモスXは熱貫流率1.05W/(㎡・K)、TWは0.98W/(㎡・K)です。窓から逃げる熱が約7%減る計算で、体感で劇的に変わるほどの差ではありません。
Q. 中古住宅にサーモスXが付いています。TWに交換したほうがいいですか?
A. トリプルガラス仕様のサーモスXなら、交換の優先度は低いと考えてよいです。TWとの差は小さく、同じ費用を断熱の弱い壁や床、アルミサッシが残っている窓に回したほうが、家全体の快適さは上がりやすくなります。
Q. TWは先進的窓リノベ2026事業の補助金を受けられますか?
A. クリプトンガス入りトリプルガラスのTWは熱貫流率0.98で、SSグレードの基準である1.1以下に入ります。ただしグレードは製品やサイズごとの性能証明で決まるため、見積もりの段階で施工店に対象グレードを確認してください。
Q. サーモスXの窓が壊れたら、修理はできますか?
A. 販売が終わった製品でも、部品の交換や調整で対応できる場合があります。対応できる部品は時期によって変わるため、窓の銘板に記載された情報を控えて、LIXILか施工店に問い合わせてください。

