「窓を替えたいんだけど、内窓とカバー工法って何が違うの?」——業者に相談し始めると、すぐにこの壁にぶつかります。
窓のリフォームには3つの工法があります。内窓設置、カバー工法、はつり工法。工法が違えば費用もまったく変わり、掃き出し窓1枚で10万円台〜50万円近くまで開きます。しかも補助金(先進的窓リノベ2026)を使えば実質費用はさらに圧縮できますが、工法によって補助額の上限も異なります。
このページでは3工法の費用相場を整理したうえで、補助金を加味した実質費用の比較、工法の選び方、業者選びのポイントまで解説します。
窓リフォームの工法は3種類、選択肢が違えば費用も変わる
窓リフォームは工法ごとの費用レンジを先に把握しておくと、業者との話が早く進みます。さっそくですが、工法別の費用相場を見てみましょう。

1窓あたり工事費込み目安。2階以上のはつり工法は足場代10〜20万円が別途必要。補助金適用前の参考値。
ご覧いただいたとおり、費用の構造は3工法でかなり違ってきます。内窓とカバー工法は掃き出し窓で10〜20万円台と似た水準ですが、はつり工法は25〜50万円と跳ね上がります。工事の複雑さによってこれだけ費用が異なってくるのです。
はつり工法は既存のサッシ枠を完全に撤去するため、外壁・内壁の補修が必ず伴ってくるため高コストになってしまうのです。
内窓(二重窓)設置の費用相場
内窓設置は3工法のなかで工期が最短で、費用も読みやすい工法です。 既存の窓の内側にもう一枚窓を取り付けるだけなので、壁を傷つけず、1箇所あたり30分〜2時間で完了します。
1窓あたりの費用目安
製品本体+取付工事込みで、小窓なら3〜5万円、腰高窓は5〜10万円、掃き出し窓は10〜20万円が目安です。窓の大きさとガラスの仕様(単板・複層・Low-E・真空ガラス)で費用は変わってきます。
代表製品はLIXILのインプラスとYKK APのプラマードUの2択です。掃き出し窓サイズのカタログ価格はインプラスが約20万円、プラマードUが約18万円(本体のみ)が目安で、そこに取付工事費1〜3万円が加わってきます。
2製品のスペック・価格・おすすめ用途の詳細な比較はインプラス vs プラマードU 徹底比較でまとめています。
断熱性能の改善効果
内窓の最大のメリットは、既存の外窓はそのままで断熱層を追加できることです。古いアルミ単板ガラスの窓(Uw値約6.5 W/㎡K)に内窓を追加すると、外窓と内窓を合わせた複合Uw値は1.5〜2.0前後まで改善できます。Uw値とは窓1㎡あたりに1秒間で逃げる熱量で、数値が低いほど断熱性が高い指標です。
外観を変えずに断熱性を大きく改善できる——この点が、窓リフォームにおいて内窓が選ばれやすい理由です。
複数窓を一気に施工するとどうなるか
全室の窓を一度に施工する場合、戸建て16〜21箇所で130〜135万円前後が実例として報告されています。1窓あたりに直すと6〜8万円台と、単体施工より単価が下がります。「まず1部屋だけ試して、効果を確認してから全室へ」という進め方も現実的です。
カバー工法の費用相場
カバー工法は、既存のサッシ枠を残したまま上から新しいサッシを被せる工法です。 壁工事が不要なため、はつり工法よりコストを抑えつつ、ガラスとフレームをまるごと新品に替えられます。
1箇所あたりの費用は、小窓で5〜8万円、腰高窓で8〜15万円、掃き出し窓で10〜20万円が目安となります。また、工期は1箇所あたり半日〜1日程度をみておきましょう。
カバー工法を選ぶメリット
外窓そのものを新しくするため、断熱性能の改善幅は内窓設置と同程度か、それ以上になります。
樹脂サッシ+Low-E複層ガラスに交換すれば、Uw値を1.5〜2.3程度まで引き下げることができます。また内窓と違い、窓が2枚重ならないため開閉のストレスが生じません。
開口が小さくなる点を把握しておく
カバー工法には必ず「開口部が少し小さくなる」という制約がありますので、その点はあらかじめ認識しておきましょう。上下左右それぞれ5〜8cm程度、既存のサッシ枠の内側に新枠を取り付けるためにやむをえない点になります。
採光や換気を重視する窓、または見た目の印象を変えたくない場合は事前に確認が必要です。とくに掃き出し窓の場合は、段差が生じて出入りしにくくなるケースもあります。リフォーム業者に実際の縮小寸法を確認したうえで判断するようにしましょう。
防火地域での注意点
また防火地域・準防火地域の建物では、カバー工法向けに防火設備認定を取得した製品を使う必要があります。認定のない製品を取り付けると建築基準法上の問題が生じるため、工法の選定前に担当業者に確認するようにしましょう。地域によってははつり工法の方が適切なケースもあります。
はつり工法の費用相場
はつり工法は、既存のサッシ枠ごと撤去して新しい枠を設置する工法です。 3工法のなかで最も費用がかかりますが、開口サイズを自由に変更できる唯一の工法です。
1箇所あたりの費用は、小窓で10〜15万円、腰高窓で15〜25万円、掃き出し窓で25〜50万円が目安となります。工期は1箇所あたり3日〜1週間程度をみておきましょう。
外壁補修を伴うため、職種をまたいだ工程管理が必要となり、その分費用も時間もかかります。
はつり工法を選ぶべき場面
ただ、費用がかかるからといって避けるべき工法ではありません。むしろ次のような状況ではつり工法が適切ともいえます。
外壁の大規模リフォーム(塗装・張り替えなど)と同時に施工する場合は、いずれにせよ外壁を傷つけるのでコストの差がほぼなくなります。
また外観を変えたい場合や窓の開口サイズを変更したい場合はそもそも他の工法が使えません。さらに先述のとおり、防火地域でカバー工法対応製品が使えない場合もはつり工法が現実的な選択肢になります。
2階以上の施工は足場代を忘れずに
はつり工法で2階以上の窓を施工する際は、足場の設置が必要なケースが多く、10〜20万円が別途加算されます。複数箇所まとめて施工する場合は足場の設置費を各窓で割り勘にできるため、1箇所ずつ対応するより費用効率が上がります。外壁リフォームとの同時施工でも同様の効果があります。
先進的窓リノベ2026 — 補助金で実質費用はいくら下がるか
窓リフォームには2026年時点で「先進的窓リノベ2026事業」という環境省の補助金制度が使えます。1戸あたり最大100万円(2025年は200万円でしたが半減)の補助が出ます。

掃き出し窓1箇所・Sグレード大サイズ(2.8〜4.0㎡)適用時の参考値。補助金は予算上限到達で終了。
2026年の補助金グレードと単価
補助金の額は製品の断熱性能(Uw値)によってSS・S・Aの3グレードに区分されます。内窓設置の場合、2026年からAグレード(Uw値1.6〜1.9)は対象外になりました。SグレードまたはSSグレード製品(Uw値1.5以下)が必要です。
内窓設置の補助単価(Sグレード)
| 窓サイズ | 補助額 |
|---|---|
| 特大(4.0㎡以上) | 7.6万円 |
| 大(2.8〜4.0㎡) | 5.2万円 |
| 中(1.6〜2.8㎡) | 3.4万円 |
| 小(0.2〜1.6㎡) | 2.2万円 |
外窓交換(カバー工法・はつり工法)の補助単価(Sグレード)
| 窓サイズ | 補助額 |
|---|---|
| 特大(4.0㎡以上) | 15.6万円 |
| 大(2.8〜4.0㎡) | 12.4万円 |
| 中(1.6〜2.8㎡) | 9.2万円 |
| 小(0.2〜1.6㎡) | 6.0万円 |
外窓交換の方が補助単価が高くなっています。カバー工法の掃き出し窓1箇所でSグレード・大サイズなら12.4万円の補助が出るため、工事費15万円の場合、実質負担は約2.6万円で収まります。
申請の期限と注意点
2026年度の交付予約申請期限は2026年11月30日ですが、予算(1,125億円)に達し次第終了します。2025年度も予算が早期に消化されました。検討中なら早めに業者に確認することをおすすめします。
制度の最新情報・申請手続き・他の補助金との併用条件は省エネリフォーム補助金2026年版まとめで詳しく解説しています。補助金情報は変更があるため、申請前には必ず公式サイト(window-renovation2026.env.go.jp)で最新情報を確認してください。
工法の選び方|マンション・戸建て・防火地域で変わる判断軸
ここまでで3工法のそれぞれの違いや費用感をつかんだもらえたでしょうか。
ここからはさらに状況に応じた選び方を整理していきましょう。
マンションの場合
マンションでは内窓設置が原則的に最有力です。カバー工法・はつり工法は外壁・共用部に関わる工事になるため、管理組合の許可が必要で、現実的には認められないケースが多数です。
内窓であれば専有部の内側のみの工事になるため、多くの管理規約で許容されています。ただし管理規約は物件ごとに異なるため、必ず管理会社に確認してから進めてください。
戸建ての場合
戸建てでは自由度が上がるため、3工法すべてが選択肢に入ります。判断のポイントは次の通りです。
内窓 → コストを抑えつつ断熱性を大幅改善したい場合。 外観・外窓はそのままで構わないなら、費用対効果が最も高い工法です。
カバー工法 → 外窓を新品にしたいが、外壁は傷つけたくない場合。 内窓特有の「2枚の窓を開け閉めする煩わしさ」を避けたい人にも向いています。
はつり工法 → 外壁リフォームと同時施工する場合、または開口サイズを変えたい場合。 単独施工では費用が高くなりやすいため、他の外装工事と組み合わせるのが費用効率の観点から賢い選択です。
一つ気をつけてほしいこと
工法の選択を業者任せにすると、施工が得意な工法を推奨されることがあります。「なぜこの工法を提案するのか」を必ず聞いて、自分の状況と照合してください。
特にカバー工法とはつり工法は費用差が大きく、業者によって判断が分かれるケースがあります。
業者選びと見積もりのポイント
最後に窓リフォームで失敗しないための実務的なポイントをまとめておきます。
3社以上に相見積もりを取る
窓リフォームも水回りと同様、同じ仕様で数十万円の差が出ることがあります。「材工一式」とだけ書かれた見積もりより、「製品本体・取付工事費・廃材処分費・諸経費」が分かれた見積もりを出してくれる業者の方が比較しやすく、交渉もしやすくなります。
リフォーム一括見積もりサービスを活用すると、複数社の提案を効率よく比較できます。
補助金申請の代行可否を確認する
先進的窓リノベ2026の申請は施工業者が代行する仕組みになっています。補助金対応業者かどうか、申請の代行費用が工事費に含まれているかを確認してください。「補助金申請は自分でやってください」という業者は、実績が少ない可能性があります。
施工後の保証内容を確認する
内窓の建て付け不良や、カバー工法後の気密性の問題は施工品質に起因するケースがあります。施工後1〜2年の無償対応保証が付いているか、連絡先が明確かを事前に確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 内窓・カバー工法・はつり工法のうち、費用が一番安いのはどれですか?
小窓や腰高窓であれば内窓設置が最も安く、3〜10万円程度から施工できます。掃き出し窓ではカバー工法と同水準(10〜20万円)になるケースもあります。はつり工法は外壁補修を伴うため、掃き出し窓で25〜50万円と大幅に高くなります。
Q. 先進的窓リノベ2026の補助金はいつまで申請できますか?
交付予約申請の期限は2026年11月30日ですが、予算(1,125億円)に達し次第終了します。2025年度は年内に予算が消化されたため、早めに施工業者に相談することをおすすめします。
Q. マンションでカバー工法・はつり工法は使えますか?
多くのマンションでは管理規約により、外壁・共用部に関わるカバー工法・はつり工法は認められていません。内窓設置であれば専有部の工事に収まるため認められるケースが多いですが、必ず管理会社または管理組合に確認してから進めてください。
Q. 窓リフォームの断熱効果はどのくらいですか?Uw値で教えてください。
古いアルミ単板窓はUw値約6.5 W/㎡K(数値が高いほど熱が逃げやすい)です。内窓をSグレード製品(Uw値1.5以下)で追加すると、外窓と合わせた複合Uw値は1.5〜2.0前後まで改善できます。カバー工法・はつり工法で樹脂サッシ+Low-E複層ガラスに交換すれば1.5〜2.3程度、トリプルガラスであれば0.8〜1.1まで引き下げることが可能です(参考値)。
Q. 窓リフォームは何社に見積もりを取ればいいですか?
最低3社が目安です。1社だけでは相場感がつかめず、価格交渉も難しくなります。見積もりを比較する際は総額だけでなく内訳の明細を確認し、補助金申請の代行実績があるかもあわせて確認してください。
