ショールームで「どの樹種にしますか?」と聞かれて、答えに詰まった方は多いと思います。オーク・ウォールナット・チェリー・ヒノキ・スギ——並べられた名前だけ見ても、どれが自分の家に合うのかイメージできない。カタログを眺めて「なんとなくウォールナットがかっこいい」で決めてしまうと、価格に驚くか、家のトーンと合わなかったという結果になりがちです。
樹種ごとに硬さ・色味・経年変化・価格帯・床暖房への適性がまったく異なります。最初に決めるべきなのは「どの名前が好きか」ではなく、「どんな暮らしをしたいか」です。その軸で絞ると、候補は意外と早く2〜3種類に絞れます。
フローリング材の色や質感は居住空間の雰囲気に大きな影響をもたらします。無垢材を検討されていらっしゃる皆さんはまさにそういった雰囲気をとても大事いされていらっしゃるのではないかと思います。
広葉樹4種・針葉樹3種の主要7樹種を特徴別に整理し、リフォームでの選び方とショールームの活用法まで解説します。
広葉樹と針葉樹:最初に決める大分類
まずはいきなりですが一覧表をご覧ください。
詳細はここからそれぞれ説明していきますが、まず広く眺めていただくとご自身の大事なポイントが絞れてくるのではないかと思います。

無垢材はまず「広葉樹か針葉樹か」を決めると、候補が一気に絞れます。
広葉樹(Hard wood)は密度が高く硬い樹種が多いです。傷がつきにくく、重厚感のある空間を作るのに向いています。色が濃く落ち着いたトーンのものが多く、LDKや寝室など見せ場になる部屋に採用されることが多いです。
針葉樹(Soft wood)は空気をたっぷり含む繊維構造のため柔らかく、素足の温かみと軽い踏み心地が特徴です。調湿性と断熱性が高く、体に触れる時間の長い寝室や子ども部屋への採用も多いです。広葉樹より傷がつきやすい反面、価格は抑えられます。ヒノキやスギのように強い香りを持つ樹種は、木が持つ抗菌効果も期待できます。
| 比較項目 | 広葉樹 | 針葉樹 |
|---|---|---|
| 硬さ | 硬い(傷つきにくい) | 柔らかい(傷つきやすい) |
| 足触り | 硬め・安定感 | 温かく柔らかい |
| 調湿・断熱性 | 中程度 | 高い |
| 価格帯 | 中〜高価格 | 安価〜中価格 |
| 香り | 樹種による | 強い香りを持つものが多い |
どちらが優れているという話ではありません。部屋の用途・インテリアの方向性・予算の組み合わせで選ぶのが合理的です。
広葉樹4選:オーク・ウォールナット・チェリー・メープル
オーク(ナラ)
無垢フローリングの中で最も流通量が多く、リフォームでの採用率も高い樹種です。ヨーロピアンオークを中心に、明るいナチュラルブラウンの色調と、柾目に現れる虎班(とらふ)と呼ばれる斑模様が特徴です。硬さは広葉樹の中でも高水準で傷がつきにくく、塗装ノリが良いためオイル仕上げからカラー塗装まで幅広く対応できます。
インテリアを選ばない汎用性の高さが最大の強みです。北欧風・和モダン・ナチュラルテイストどの空間とも相性が良く、「外しのない選択肢」として初めて無垢材を選ぶ方にも向いています。価格は広葉樹の中では比較的手が届きやすく、材料費の目安は5,000〜12,000円/m²程度です。
経年変化は緩やかで、年月をかけて深みのある褐色に変化します。長く使い続けるほど味が出る——そういう素材です。個人的にも「迷ったらオーク」と言いたくなるくらい、普遍的な選択肢です。
ウォールナット
世界的に高い評価を受ける北米産の高級木材です。深みある茶褐色から黒褐色の色調が最大の特徴で、白や淡いグレーの壁と組み合わせると強いコントラストが生まれます。リビングに採用するだけで、空間の格が一段上がります。
硬さは高く傷に強い一方、良質な広幅材は希少性が高く、価格も広葉樹の中で最上位クラスです。材料費の目安は15,000〜30,000円/m²以上とかなり幅があります。乱伐防止のため取引が制限される産地もあり、供給状況によって価格が変動することも念頭においてください。
家具・内装・楽器にも使われる汎用性の高さは、フローリングに採用したあとの家具選びにも余裕を生みます。使い込むほどに風合いが増す、そういう素材です。
チェリー(アメリカンブラックチェリー)
チェリーは少し特別な樹種です。施工直後は淡いサーモンピンクの色調ですが、光(紫外線)にさらされることで半年〜1年で急速に飴色へと変化します。この色変わりは無垢材の中でも特に劇的で、「仕上がった空間が時間をかけて育っていく」体験は他の樹種にはありません。施工後にじわじわ深まっていく色に愛着を感じるユーザーが多いのも、チェリーならではです。
木肌は緻密で滑らかなため、ザラつきなく素足に心地よいです。硬さはウォールナット・オークより若干劣りますが、内装用として使うには十分な強度があります。価格は高級材の位置づけで、材料費の目安は15,000〜25,000円/m²程度です。
経年変化後の色は予測がつきにくいため、購入前にショールームで経年品のサンプルを確認することを強くおすすめします。
ちなみに我が家のリビングは複合材ですが、チェリーを採用しました。少し赤みがかった雰囲気が、部屋に暖かみを与えてくれます。
下の画像はショールームで見たチェリー材の少し経年変化したものです。

メープル(カエデ)
白〜クリームの明るい色調と、なめらかな木肌が特徴です。空間を広く明るく見せる効果があり、北欧インテリアやホワイトベースのシンプルモダンな部屋との相性が特に良いです。
広葉樹の中でも硬さが際立っており、バスケットボールコートやボウリングレーンにも使われるほどの耐摩耗性を持ちます。傷がつきにくく、複数の部屋で使っても長期間の美観を保てます。価格は中〜高価格帯で、材料費の目安は10,000〜30,000円/m²程度です。
木目の主張が少ないため、家具やカーテンの柄が映えます。ただし汚れが目立ちやすいというデメリットもあるため、小さい子どもがいる家庭では塗装仕上げの選択を慎重に検討してください。
針葉樹3選:ヒノキ・スギ・パイン
ヒノキ
日本を代表する針葉樹で、古来より神社仏閣の構造材や浴槽に使われてきた信頼性の高い木材です。独特の清々しい香りはヒノキチオールという成分によるもので、抗菌・防虫・リラックス効果が確認されています。素足で歩くたびに香りが立つ体験は、他の樹種にはありません。
針葉樹の中では比較的硬めで、適度な安定感のある踏み心地です。耐水性・耐朽性に優れており、適切にメンテナンスすれば長期使用できます。価格はスギよりやや高く、材料費の目安は5,000〜12,000円/m²程度です。白木の美しさを生かしたオイル無塗装やクリア仕上げが人気で、和室からナチュラルモダンまで幅広い空間に合います。
スギ
針葉樹の中で最も柔らかく、素足で踏んだときの温かみと柔らかさは他の樹種で体験できません。内部に空気をたっぷり含む構造が断熱性を高め、冬でも床から冷えを感じにくいのが最大の強みです。
国産材の中でも生産量が多く、価格は無垢材の中で最も手頃な部類です。材料費の目安は3,000〜7,000円/m²程度です。柔らかい分だけ傷はつきやすいですが、「傷もスギの風合いになる」という考え方で経年変化を楽しむオーナーも多いです。赤身(芯材)部分は耐水性が高く、白身との混在するグラデーションが自然素材らしい表情を作ります。
素足で過ごす時間の長い子ども部屋・寝室・和の空間に特に向いています。
パイン(欧州赤松)
業界でパインというと、主にヨーロッパ産の欧州アカマツを指します。白〜淡黄色のベース色に、はっきりとした節が入るのが視覚的な特徴です。節を「自然の模様」として好む方が多く、カントリー・北欧・ナチュラルテイストのインテリアとの相性が特に良いです。
針葉樹の中では比較的硬い部類で、油分を多く含む性質があります。耐衝撃性があり、適度な弾力感が長時間の立ち仕事でも疲れにくいと評判です。経年変化でアメ色に変わり、使い込むほどに味のある空間になります。価格はスギと同程度か少し上で、材料費の目安は4,000〜8,000円/m²程度です。
ロットによってはヤニ(樹脂)が出ることがあるため、施工前のサンプル確認と施工業者との事前すり合わせをおすすめします。
樹種が空間にもたらす雰囲気
正直に言ってしまうと、樹種選びで最後に決め手になるのは「この床が好きかどうか」です。硬さや床暖房適性は候補を絞るための条件ですが、最終的に「この部屋で暮らしたい」と感じるかどうかは、見た目と雰囲気によるところが大きいです。スペック上の正解より、ショールームで踏んで「これだ」と思えるかどうかの方が、10年後に後悔しない選択につながります。
各樹種が空間にもたらす雰囲気を整理しました。
| 樹種 | もたらす空間の雰囲気 | 相性の良いインテリア |
|---|---|---|
| オーク | 落ち着いた明るさ・ナチュラル | 北欧・和モダン・ナチュラル全般 |
| ウォールナット | 重厚・モダン・高級感 | インダストリアル・ミッドセンチュリー・ラグジュアリー |
| チェリー | 温かみ・華やか・育つ空間 | アンティーク・クラシック・エレガント |
| メープル | 清潔感・明るさ・シンプル | 北欧モダン・ホワイトベース・ミニマル |
| ヒノキ | 清々しさ・凛とした和の空気 | 和風・和モダン・リラックス系 |
| スギ | 素朴・やわらかい温かさ | 田舎暮らし・ナチュラル・ログハウス系 |
| パイン | のびのびした明るさ・カントリー | カントリー・北欧・アウトドア系 |
ウォールナットを選べばどんな空間もぐっと締まりますが、白い壁の北欧テイストに合わせたいならメープルやオークの方がしっくりきます。チェリーは施工直後と1年後でまったく異なる表情になるため、「時間とともに空間が育っていく」体験を楽しめる方に向いています。
インテリアの方向性がまだ決まっていない場合は、先に壁紙・家具の色味を決めてからフローリングを選ぶ順序が合理的です。フローリングは壁や家具と比べて後から変更しにくいため、他の要素に合わせやすい汎用性の高い樹種(オーク・メープル)を選ぶか、フローリングを空間の主役に据えてインテリアを組み立てるか、最初に方向性を決めておくと迷いにくくなります。
塗装仕上げで変わる質感と手入れの負担
同じ樹種でも、塗装の種類によって質感・メンテナンス頻度・体感が大きく変わります。主な仕上げは2種類です。
オイル仕上げは、植物性オイルを木の繊維に浸透させる方法です。木の表面が塗膜で覆われないため、調湿性・香り・素足の温かみをそのまま生かせます。年に1〜2回のオイル塗布が必要ですが、DIYでの部分補修がしやすく、傷や染みも布にオイルを含ませて擦り込むだけで目立たなくなることが多いです。オスモカラー(ドイツ製)やリボス(ドイツ製)など、国内でも入手しやすい製品があります。
ウレタン塗装は、表面に塗膜を形成する方法です。水・汚れへの耐性が高く日常のお手入れが楽になります。ただし塗膜が木の呼吸をある程度遮断するため、調湿性・香りは低下します。傷が塗膜に入った場合の補修は業者依頼になる点も覚えておいてください。
子どもやペットがいる家庭ではウレタン塗装、木の質感をフルに楽しみたい方にはオイル仕上げという使い分けが一般的です。どちらを選ぶかは購入前にサンプルで質感を確かめてから決めるのが確実です。
リフォームでの樹種選び
重ね張りと樹種の厚み制約
既存床に重ねて張る上張り工法を使う場合、フローリングの厚みが12〜15mmになるためドア下端との干渉に注意が必要です。厚みの制約がある場合は9mm・6mmの薄型品を選ぶか、対応する樹種に候補を絞ります。広葉樹は薄型品のラインナップが充実している一方、針葉樹(特にスギ)は薄型品の選択肢が限られることがあります。詳しい工法の注意点は無垢フローリング vs 複合フローリング 徹底比較もあわせて確認してください。
床暖房がある部屋の樹種選び
床暖房の上に無垢材を敷く場合は、必ずメーカーが「床暖房対応品」として指定する製品を選んでください。対応品として流通しているのは主に広葉樹(オーク・チェリーなど)の一部です。針葉樹は膨張収縮が大きくなりやすく、床暖房対応品として提供されている製品が少ないのが現状です。床暖房と無垢材の質感を両立したい場合は、挽き板複合フローリングも有力な選択肢として検討してください。
施工時期と湿度管理
無垢材は施工前に現場に持ち込んで1〜2週間「馴染ませ」ることが推奨されています。梅雨時期の施工では木が膨張した状態でクリアランスを取る必要があり、冬の乾燥期とは設定値が変わります。職人の経験によって仕上がりに差が出やすい素材のため、無垢材の施工実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。
部屋ごとに樹種を分けるという選択肢
リビングと寝室・子ども部屋で異なる樹種を組み合わせることは、リフォームでは十分あり得る選択です。「全室統一」が基本とされることが多いですが、部屋の用途・予算・ライフスタイルによっては、意図的に分けた方がうまくいくケースもあります。
よくある組み合わせの例です。
- LDK:オーク / 寝室・子ども部屋:スギ LDKは来客も意識したオークの安定感と汎用性を、素足で過ごす時間が長いプライベート空間にはスギの柔らかさと温かみを。見た目の系統を大きく外さずに、踏み心地の差を場所で使い分ける選択です。
- LDK:ウォールナット / 寝室:ヒノキ リビングは高級感とデザイン重視、寝室は香りとリラックス性を重視した使い分け。空間ごとにコンセプトを変える上級の組み合わせです。費用は高くなりますが、インテリアの完成度は上がります。
- LDK:オーク / 水回り近辺:挽き板複合フローリング キッチン背面や洗面室への入口など、水が近い場所は耐水性の高い挽き板複合フローリングを選びリスクを分散する方法です。色味が近い樹種の挽き板を選べば、継ぎ目の違和感も抑えられます。
注意したいのは、廊下・建具との色の連続感です。隣接する部屋同士で明度差が大きすぎると、境目で空間が詰まって見えることがあります。ショールームで候補の樹種を隣に並べて確認するか、インテリアコーディネーターに相談してから決めるのが安心です。
実物を体感できるショールームガイド
樹種選びで最も効果的なのは、サンプルを実際に素足で踏んで確かめることです。写真やカタログだけでは伝わらない踏み心地・香り・光の当たり方による色の違いは、ショールームに行って初めてわかります。
マルホンは無垢フローリング専門メーカーとして国内最大規模のショールームを展開しています。浜松(本社)・東京(新宿パークタワー内 リビングデザインセンターOZONE 6階)・大阪(グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル 3F)・福岡の4拠点で、約200枚以上の大型サンプルボードを素足で体感できます。専門スタッフに空間の用途や予算を伝えると、具体的な提案を受けられます。
また、ショールームや、webで以下のようなサンプル板をもらうことができます。サンプル板だけではどうしても部屋全体の雰囲気までをイメージ仕切ることは難しいですが、実物を見て色味や質感を見ることはとても大事だと思います。もし検討から施工まで時間が許すのであれば、こういったサンプル板を使って少しでも経年変化を見てみることもできると思います。
.jpeg)
東京のリビングデザインセンターOZONE(新宿パークタワー6階)には、マルホンに加えて朝日ウッドテック・ウッドワンのショールームが同一フロアに揃っています。一度の訪問で複数メーカーの無垢材・挽き板を比較体験できるため、東京圏でリフォームを検討している方には特に効率的です。
ショールームで確認すべきチェックポイント
- 候補の樹種を素足で踏み比べ、温かみ・硬さの違いを実感する
- オイル仕上げとウレタン塗装の同一樹種サンプルを見比べる
- 経年変化品(使用開始から数年のサンプル)があれば必ず確認する
- 自宅に持ち帰れるサンプルを入手し、実際の採光条件で確かめる
- 床暖房対応品かどうかを展示品ごとに確認する

よくある質問
Q1. 無垢フローリングの樹種はどうやって選べばいいですか?
まず広葉樹か針葉樹かを決め、その後に色調・経年変化・予算で絞り込むと選びやすくなります。硬さと傷への強さを重視するならオーク・ウォールナット・メープル、足触りの温かさとコストを重視するならスギ・ヒノキが向いています。最終的にはショールームで実物を素足で確かめてから決めることをおすすめします。
Q2. 経年変化が大きい樹種と小さい樹種の違いは?
経年変化が最も大きいのはチェリーで、施工後半年〜1年で淡いピンクから濃い飴色へと劇的に変化します。ウォールナットは時間とともに少し明るくなる方向に変化します。オーク・ヒノキ・スギは変化が比較的緩やかです。経年変化を楽しみたい方はチェリー・スギ、安定した色味を好む方はオーク・メープルが向いています。
Q3. 針葉樹のフローリングは傷つきやすいのでは?
スギやパインは柔らかいため、家具の脚や落下物による傷はつきやすいです。ただし傷がついても研磨と再塗装で補修できる点は無垢材共通のメリットです。傷を経年の味として楽しめる方や、子どもが素足で走り回る部屋に採用したい方には針葉樹が向いています。
Q4. 無垢フローリングの価格の目安を教えてください。
材料費のみの目安(m²あたり)は、スギ・パインが3,000〜8,000円、ヒノキ・オークが5,000〜12,000円、メープル・チェリーが10,000〜25,000円、ウォールナットが15,000〜30,000円以上です。施工費を加えると6畳(約10m²)あたり12万〜45万円以上の幅になります。
Q5. ショールームは予約なしで行けますか?
マルホン・朝日ウッドテック・ウッドワンのショールームは来場予約を推奨しているケースがあります。訪問前に各メーカーの公式サイトで予約方法や営業日を確認してください。事前予約をすることで、担当者から自分の空間に合わせた具体的な提案を受けられる可能性が高まります。
