給湯器からエラー音が鳴る。お湯がぬるい。業者に連絡すると、交換の見積もりにはリンナイとノーリツの型番が並んでいる。どちらも聞いたことのあるメーカーで、価格も近い。どちらでもいいような気もするし、何か決定的な違いがあるような気もする。そんな場面で迷っている方は多いはずです。
私も中古戸建てをリノベーションしたとき、給湯器のメーカー選びで同じように手が止まりました。カタログを見比べても、機能の名前がそれぞれ違っていて、何がどう違うのかが分かりにくいんです。
2社のガス給湯器は、お湯をつくる基本性能ではほとんど差がありません。違いが出るのは、上位機種に搭載された独自機能です。リンナイは泡の技術で入浴や掃除を快適にする方向、ノーリツは除菌の技術でおふろを清潔に保つ方向に力を入れています。この違いが、毎日のおふろでどう効いてくるのかを整理していきます。
リンナイとノーリツ、違いはどこに出る?
違いが出るのは、上位機種の独自機能、停電やアプリなどの付加機能、そしてシリーズの構成です。お湯を沸かす効率や号数の選び方は、どちらも同じ考え方で選べます。
ここでは、戸建てでよく使われるエコジョーズのふろ給湯器で比べます。エコジョーズとは、これまで捨てていた排気の熱を再利用してお湯を温める、効率の高いガス給湯器のことです。リンナイはRUFシリーズ、ノーリツはGTシリーズが主力になります。
給湯器そのものの仕組みや、電気でお湯をつくるエコキュートとの違いから知りたい方は、エコキュートとエコジョーズの比較記事を先に読むと、この先の話がつながりやすくなります。
主な違いを一覧にしました。

| 比較項目 | リンナイ | ノーリツ |
|---|---|---|
| 主なシリーズ | RUF-E、上位にRUF-ME・UE・UME | GT-C72、GRQ-C72など |
| 独自技術 | エアバブルテクノロジー | W除菌 |
| 上位機種の特徴 | マイクロバブル、ウルトラファインバブル | オゾン水除菌、LED-UV除菌 |
| ふろ配管の掃除 | 排水時に約5Lのお湯で自動洗浄 | スマート配管クリーン、上位はオゾン水で除菌 |
| 停電時 | ポータブル電源で給湯できる停電モード | 公式ページでの記載は確認できず |
| アプリ | リンナイアプリ | わかすアプリ |
| 希望小売価格の例 | RUF-E 24号フルオートで税込53万3,500円 | GT-C72シリーズで税込40万3,920円から |
価格はいずれもメーカー希望小売価格で、工事費やリモコンは別です。実際の見積もりは、販売店の値引きや工事の内容で大きく変わります。
基本性能に差はある?
お湯をつくる基本性能では、2社に大きな差はありません。どちらもエコジョーズを主力にしていて、同じ号数なら出せるお湯の量も同じ考え方です。
リンナイは、エコジョーズは従来型と比べてガスの使用量を約13%減らせると説明しています。排気の熱で水をあらかじめ温めるので、同じお湯をつくるのに使うガスが少なくて済む、という仕組みです。ノーリツのエコジョーズも同じ原理で、排気の熱を再利用しています。
給湯器選びで最初に決めるのは号数です。号数とは、水温より25℃高いお湯が1分間に何リットル出るかを表す数字です。24号なら、1分間に24リットルのお湯が出せます。
ノーリツは、24号は冬でもシャワーをよく使う4人家族、20号は夫婦2人の家庭を目安として示しています。キッチンとお風呂で同時にお湯を使う場面が多いほど、大きい号数が必要です。
号数を下げると本体価格は下がりますが、冬にシャワーの温度が安定しにくくなることがあります。今の給湯器の号数を基準にして、家族の人数が増えているかどうかで見直すのが分かりやすい方法です。
泡のリンナイ、除菌のノーリツ
2社の個性が最もはっきり出るのが、上位機種の独自機能です。リンナイは泡、ノーリツは除菌。どちらを魅力に感じるかで、選ぶメーカーはほぼ決まります。
リンナイのエアバブルテクノロジーは、とても小さな泡を水に溶け込ませる技術です。2種類の泡があります。
- マイクロバブルは、浴槽のお湯を白く濁らせるほどの細かな泡です。温泉に入っているようなリラックス感とうるおい感をもたらす、とリンナイは説明しています。RUF-MEとRUF-UMEシリーズはマイクロバブルバスユニットを内蔵していて、標準のRUF-Eシリーズでもユニットを接続できます。
- ウルトラファインバブルは、目に見えないほど小さな泡です。この泡を含んだお湯を家中に送り出すことで、浴室や洗面所、キッチンの水まわりの汚れや水あかを付きにくくする、とされています。RUF-UEとRUF-UMEシリーズが対応しています。
ノーリツのW除菌は、2つの除菌ユニットで、おふろのお湯と配管を清潔に保つ仕組みです。GT-C72シリーズのプレミアム、W除菌のグレードに搭載されています。
- オゾン水除菌ユニットは、水道水を電気分解してオゾン水をつくり、ふろ配管を除菌します。入浴後にお湯を抜くと配管をきれいにする、オゾン水配管クリーンという機能です。
- LED-UV除菌ユニットは、浴槽から吸い込んだお湯に紫外線を当てて除菌します。入浴後に一定時間たつと自動でUV運転をするUVキレイ入浴や、翌日の洗濯に使う残り湯をきれいにする残り湯UVキレイがあります。
ここは暮らし方で選ぶところです。家族の入浴時間がばらばらで、後から入る人のためにお湯をきれいに保ちたい。残り湯を洗濯に使っている。小さな子どもがいて、配管の汚れが気になる。そういう家庭には、ノーリツの除菌機能が分かりやすく効いてきます。
一方で、おふろの時間そのものを楽しみたい、水まわりの掃除の手間を減らしたいという家庭には、リンナイの泡の機能が魅力になります。正直に言って、泡の心地よさはカタログの文章では伝わりにくいので、ショールームや展示会で一度体験してみるのがおすすめです。
配管の掃除は、どちらも標準的な機能として用意されています。リンナイは、浴槽のお湯を抜くときに約5Lのお湯を流して、おいだき配管の残り湯や入浴剤を押し出す自動洗浄を備えています。ノーリツは、プレミアムとスタンダードのグレードにスマート配管クリーンを用意しています。
停電・アプリ・見守り機能の違い
付加機能では、リンナイの停電モードが目立ちます。停電してもガスと水道が使えれば、ポータブル電源を給湯器につないでお湯を使えるという機能です。
ガス給湯器は、ガスで火をつけますが、点火やファンの動作に電気を使います。そのため、停電すると普通はお湯が出ません。災害時の停電は、ガスや水道より先に起きることも多いので、ポータブル電源を持っている家庭には安心材料になります。ただし使えるのは給湯だけで、湯はりなどの機能は使えません。
リンナイには、気象警報が出るとアプリに通知して、生活用水の確保のために浴槽への湯はりを提案する機能もあります。対応リモコンでは、給湯器の状態を分析して経年劣化を知らせる機能も用意されています。突然お湯が出なくなる前に交換を検討できるのは、給湯器の寿命が気になる家庭にはありがたい機能です。
ノーリツは、見守りや入浴の快適さに関わる機能に力を入れています。わかすアプリでは、外出先からの湯はりや、家族の入浴状況の確認ができます。無線LAN対応の高機能リモコンと組み合わせると、三菱電機の電気式浴室暖房乾燥機との連動にも対応しています。
どちらのアプリも、対応するリモコンを選ぶことが前提です。給湯器本体だけでなく、リモコンの型番まで見積もりで確認しておきたいところです。
価格はどちらが安い?
メーカー希望小売価格で比べると、ノーリツのGT-C72シリーズは税込40万3,920円から、リンナイのRUF-Eシリーズは16号のオートで税込40万7,000円、24号のフルオートで税込53万3,500円です。上位機種では、リンナイのRUF-UMEが24号で税込69万5,640円になります。
ただ、給湯器は希望小売価格のまま売られることはまずありません。販売店によって大きく値引きされるのが一般的で、実際の差は、同じ号数、同じグレードで取った見積もりで比べるしかありません。
価格差が出やすいのは、次のポイントです。
- 号数です。24号と20号では本体価格に差があり、家族構成に合わない大きさを選ぶと割高になるからです。
- フルオートかオートかです。自動でたし湯まで行うフルオートは、オートより価格が上がるからです。
- 上位機能の有無です。泡や除菌の機能が付いた上位機種は、標準機より10万円以上高くなることがあるからです。
- リモコンです。アプリ対応の高機能リモコンを選ぶと、その分の費用が加わるからです。
見積もりを比べるときは、この4点をそろえてから、メーカーの違いを比べると判断を誤りません。浴室やキッチンなど水まわり全体の予算感は、水回りリフォーム費用まとめも参考にしてください。
交換で失敗しない選び方
給湯器の交換では、メーカーを決める前に確認しておくことがあります。次の順番で考えると、迷いにくくなります。
- 今の給湯器の設置形態を確認します。理由は、壁掛けか据え置きか、屋外か屋内かで、選べる機種が決まるからです。
- 今の号数と、家族の人数の変化を確認します。理由は、号数が合っていないと、冬のシャワーの不満や、過剰な出費につながるからです。
- フルオートかオートかを決めます。理由は、自動たし湯が必要かどうかで、価格と使い勝手が変わるからです。
- 泡と除菌のどちらに魅力を感じるかを考えます。理由は、上位機種を選ぶなら、ここでメーカーがほぼ決まるからです。
- 補助金を使いたいかを確認します。理由は、エコジョーズは給湯省エネ2026事業の対象外で、補助を受けたいならハイブリッド給湯機などを検討する必要があるからです。
補助金について補足します。国の給湯省エネ2026事業の対象は、エコキュート、ハイブリッド給湯機、エネファームの3種類で、ガスだけでお湯をつくるエコジョーズは含まれていません。リンナイもノーリツも、ガスと電気のヒートポンプを組み合わせたハイブリッド給湯機を展開しているので、光熱費と補助金を重視するなら、同じメーカーのハイブリッド機も見積もりに入れてみてください。制度の全体像は、省エネリフォーム補助金の比較記事にまとめています。
ありがちな失敗が、壊れてから慌てて交換し、在庫のある機種で決めてしまうパターンです。給湯器は10年前後で寿命を迎えることが多いので、使い始めて10年が近づいたら、一度見積もりを取っておくと、落ち着いてメーカーを選べます。
あなたに合うのはどっち?
5つの軸で比べると、基本性能は互角で、上位機能の方向性で選ぶのが近道だと分かります。

評価は、両社の公式サイトで確認できた情報をもとにした当サイトの整理です。上位機種を選んだ場合を想定しています。
こんな人はリンナイがおすすめ
- おふろの時間をリラックスの時間にしたい人です。マイクロバブルで、温泉のような白く濁ったお湯を楽しめるからです。
- 水まわりの掃除の手間を減らしたい人です。ウルトラファインバブルのお湯で、水あかや汚れを付きにくくできるからです。
- 停電への備えを重視する人です。ポータブル電源から給湯できる停電モードがあるからです。
- 給湯器の寿命を早めに知りたい人です。対応リモコンで経年劣化をお知らせする機能があるからです。
こんな人はノーリツがおすすめ
- おふろの清潔さを何より重視する人です。オゾン水とLED-UVのW除菌で、配管とお湯を除菌できるからです。
- 残り湯を洗濯に使っている人です。残り湯UVキレイで、翌日の洗濯までにお湯をきれいにできるからです。
- 家族の入浴時間がばらばらな人です。入浴後に自動でUV運転をして、次の人のためにお湯を保てるからです。
- 初期費用を抑えたい人です。GT-C72シリーズの希望小売価格が40万円台前半から設定されているからです。
リンナイかノーリツかで迷ったら、まずは今の給湯器の号数と設置形態を確認し、同じ条件で両社の見積もりを取ってください。そのうえで、泡と除菌のどちらが自分の暮らしに合うかで決めるのが、いちばん後悔の少ない選び方です。
よくある質問
Q. リンナイとノーリツ、どちらが壊れにくいですか?
A. 公式に比較できる故障率のデータはなく、どちらが壊れにくいとは言い切れません。給湯器は10年前後で交換を検討する時期を迎えることが多いため、メーカーより、設置環境や使い方、定期的な点検のほうが寿命に影響すると考えてください。
Q. 今と違うメーカーの給湯器に交換できますか?
A. 多くの場合、同じ設置形態と号数の機種であれば、別のメーカーに交換できます。ただしリモコンは給湯器と同じメーカーのものに替える必要があり、配管の位置によっては追加工事がかかることがあるため、現地調査で確認してください。
Q. エコジョーズは補助金の対象になりますか?
A. 国の給湯省エネ2026事業の対象は、エコキュート、ハイブリッド給湯機、エネファームの3種類で、エコジョーズは対象外です。補助金を使いたい場合は、リンナイやノーリツのハイブリッド給湯機を検討する方法があります。
Q. 号数は何号を選べばいいですか?
A. 号数は、水温より25℃高いお湯が1分間に何リットル出るかを表します。ノーリツは24号を冬でもシャワーをよく使う4人家族、20号を夫婦2人の家庭の目安としています。キッチンと浴室で同時にお湯を使うことが多いなら、大きめの号数が安心です。
Q. 停電のとき、ガス給湯器は使えますか?
A. ガス給湯器は点火やファンに電気を使うため、停電すると通常はお湯が出ません。リンナイには、ガスと水道が使えればポータブル電源をつないで給湯できる停電モードがあります。使えるのは給湯のみで、湯はりなどの機能は使えません。

