窓サッシを交換するリフォームや、新築・リノベーションの仕様選びで、YKKAPかLIXILのどちらの製品のどちらにしようか悩まれている方も非常に多いのではないでしょうか。
なおLIXILのサーモスXは2022年春に販売を終了しており、現在の後継製品はハイブリッド窓TWです。
それでも、APW330とサーモスXの比較を調べている方は今も多くいます。「購入を検討している中古住宅にサーモスXが付いていて性能を知りたい」「以前の記事でサーモスXを知り、今の選択肢と比べたい」——そういったニーズに応えられるよう、2製品の違いをきちんと整理したうえで、後継のTWも含めた選び方を解説していきたいと思います。
製品概要:APW330とサーモスXの基本プロフィール
APW330はYKK APが製造するオール樹脂窓で、フレームの内外すべてに樹脂を使っています。サーモスXはLIXILが製造するアルミ樹脂複合窓で、外側にアルミ、内側に樹脂を組み合わせた構造です。この素材の違いが、断熱性能・デザイン・価格のすべての差に直結している言えます。
| 項目 | APW330(YKK AP) | サーモスX(LIXIL) |
|---|---|---|
| フレーム素材 | オール樹脂 | アルミ樹脂複合 |
| ガラス仕様 | Low-Eトリプル・ペア | Low-Eトリプル・ペア |
| 最大対応サイズ | 約1.5間 | 約2間 |
| フレーム幅 | 標準幅 | 36.5mm(スリム) |
| 販売状況 | 現行販売中 | 2022年春 販売終了 |
| 現行後継製品 | ── | ハイブリッド窓TW |
サーモスXの後継であるハイブリッド窓TWは断熱性能がさらに向上しており、現在LIXILのアルミ樹脂複合窓の主力製品です。設計思想はサーモスXと共通しているため、以降の比較ではTWも同系統の製品として扱います。
性能比較:断熱性能の数値と実態
これらの窓サッシを検討する中で、最も着目したい点の一つが断熱性能だと思います。
断熱性能を示す指標は熱貫流率(U値)で、数値が小さいほど熱を逃がしにくく断熱性が高くなります。トリプルガラス仕様での比較では、APW330(真空トリプル)が0.99 W/㎡·K、サーモスX(クリプトンガス入りトリプル)が1.03 W/㎡·Kです。数値上はAPW330がわずかに上回りますが、この差は住宅全体の断熱性能を左右するほどのものではありません。
また注目すべきは窓サイズによる性能変化です。アルミを含むサーモスXは、窓サイズが小さくなるほどフレームの割合が増え、熱貫流率が大幅に悪化します。幅60cm×高さ30cm程度の小窓ではUw値が2.57 W/㎡·Kにまで上がってしまった実例が報告されています。一方、オール樹脂のAPW330はフレームの素材が均一なため、どのサイズでも性能低下が少なく、安定した断熱性を発揮しています。
| 製品・仕様 | 熱貫流率(W/㎡·K) |
|---|---|
| 一般アルミ窓(複層ガラス) | 約4.65 |
| アルミ樹脂複合・従来品(ペアガラス) | 2.33 |
| サーモスX(ペアガラス・アルゴンガス) | 1.52 |
| サーモスX(トリプル・クリプトンガス) | 1.03 |
| APW330(真空トリプル) | 0.99 |
| ハイブリッド窓TW(トリプル) | 0.98 |
数値はメーカー公開の代表試験体の値。窓サイズや仕様によって異なります(YKK AP・LIXIL各社公式資料より)。

結露についても同様の傾向が見られます。フレームの表面温度が下がりやすいサーモスXは、厳寒地や気温差が激しい日にフレーム周辺で結露が発生するリスクがあります。温暖地ではほぼ問題ないレベルですが、寒冷地での採用や結露を徹底的に抑えたい場合はAPW330が有利です。
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デザインと設計自由度の違い
またリフォームや住宅設備を選ぶにおいては見た目・デザインも大事な要素ですよね。
デザイン面ではサーモスXが優位なように思います。フレーム幅を36.5mmにスリム化しており、窓全体に占めるガラス面積を広く確保できます。外観がすっきりして採光量も増え、室内からの眺望が広がります。外側がアルミのため傷への強さや塗装の耐久性にも優れています。
APW330はオール樹脂のため、サーモスXと比べるとフレームがやや太くなってしまいます。一方、カラーはホワイト・プラチナステン・ブラウン・ブラック・チーク・ブラックウォールナットの6色が揃っており、インテリアとの調和を図りやすい構成になっています。チークやウォールナットなどの木材調のデザインは外観の雰囲気も崩すことがなく、こだわりたい層には非常に良い選択肢だと思います。
2011年度のグッドデザイン賞を受賞しており、機能と外観の両立という点での評価は確立されています。
また見落としがちな観点ですが、最大サイズの違いも設計に直結します。APW330の最大幅が約1.5間なのに対し、サーモスXは約2間まで対応していました。リビングの大型掃き出し窓や連窓を設ける計画では、この差が選択に影響します。後継のTWも大開口対応を引き継いでいるため、大きな窓を設置したいという点ではLIXIL製品の方が向いているかもしれません。
費用とコストパフォーマンス
ここまで機能面で見てきましたが、次に費用の観点も見ていきたいと思います。
製品単体の価格はサイズや仕様によって大きく変わりますが、新築での採用事例を比較すると、APW330とサーモスXの価格差はほぼないか、APW330の方が同等以下になるケースが多いです。断熱性能ではAPW330が上回るため、コストパフォーマンスの観点でAPW330が評価されることが多くなっています。
リフォームでカバー工法を選ぶ場合の費用目安は以下の通りです。
| 窓の種類 | 工事費込みの目安 |
|---|---|
| 腰高窓(引き違い) | 15万〜30万円 |
| 掃き出し窓 | 35万〜45万円 |
また補助金についても押さえておきたい点です。
2025年度の子育てエコホーム支援事業において外窓交換工事が対象となっています。一般世帯で最大20万円、子育て・若者夫婦世帯で最大60万円の補助が設けられており、窓グレードのアップグレードにかかる費用を大幅に抑えられる可能性があります。補助金の対象要件は仕様や設置工法によって異なるため、施工業者への事前確認が必要です。
保証とアフターサービスの体制
次に気になるのは保証やアフターサービスの面です。保証が製品選びの決定打になることはあまりないと思いますが、大きな差がないかはきちんと押さ得ておきましょう。
まずYKK APのAPW330ですが、こちらはAPW専用の10年保証があります。複層ガラスの内部結露を含む窓枠・ガラス・部品の支給が10年間無償保証され、その他の修理工事には2年間の保証が付きます。保証書は施主に直接発行される仕組みで、万一の際の対応が明確になっています。
LIXILのサーモスXおよびTWは、LIXILオーナーズクラブを通じた長期保証サービスが利用できます。有償の会員登録により5年・10年の延長保証を受ける仕組みで、保証の設計がYKK APとは異なります。YKK APが標準で10年保証を提供しているのに対し、LIXILは初期保証に加えてオプションで延長する方式です。
窓は設置後10〜20年単位でメンテナンスが必要になることがあります。複層ガラスの封止材の劣化やパッキン交換が主な内容で、メーカーのアフターサービス体制と部品供給の継続性を確認しておくことが長期的な安心につながります。
リフォームで窓を選ぶときの考え方
窓を交換するリフォームには主に3つの工法があります。それぞれ費用・性能・工事規模が異なるため、住まいの状況に合った選択が必要です。
- カバー工法:既存の窓枠の上から新しい窓枠を被せる方法。壁を壊す必要がなく、工期が短く費用も抑えられます。ただし窓サイズがひと回り小さくなります。
- 内窓追加:既存の窓の内側に樹脂製の内窓を設置する方法。費用を最も抑えられ、補助金の対象にもなりやすい選択肢です。既存窓との二重構造で断熱性・防音性が大きく向上します。
- 枠ごと交換:既存の窓枠を撤去して丸ごと交換する方法。工事規模と費用は大きくなりますが、最も高い断熱性能と新品の保証を得られます。
リフォームの文脈では、APW330がYKK APのリフォーム専用ライン「かんたんマドリモ」に対応していることが実用上の強みになります。カバー工法でもオール樹脂の断熱性能を実現でき、1日程度の工事で完了するケースも多いです。
サーモスX(TW)はカバー工法に特化したリフォーム専用ラインが明確ではないため、既存窓の交換を前提にする場合はAPW330の方が選択肢として扱いやすいという側面があります。ただし大規模リノベーションや新築では設計自由度の高さが活きるため、TW系の製品を採用するケースも多くあります。
断熱リフォームでは窓全体を一度に交換する必要はありません。結露が出やすい北側の窓や寝室の窓を優先して交換し、補助金と組み合わせながら段階的に進める方法も現実的な選択肢です。
タイプ別おすすめ:あなたに合うのはどちらか
ここまでそれぞれの軸で両製品は比較してきましたが、最後にこれらの特性を踏まて各製品に向いている人の像をまとめていきましょう。
APW330がおすすめな人
- 寒冷地に住んでいる、または結露対策を最優先にしたい
- 小窓を含む多様なサイズで安定した断熱性能を求める
- カバー工法でのリフォームを予定している
- 標準で10年保証が付く製品を選びたい
- 断熱性能とコストのバランスを重視する
サーモスX(現在はハイブリッド窓TW)がおすすめな人
- スリムなフレームで眺望と採光を最大化したい
- 2間以上の大開口窓を設ける計画がある
- 外観にアルミの質感・耐候性を取り入れたい
- 温暖地で夏の日射遮蔽と室内デザインを優先する
- 大規模リノベーションや新築で設計の自由度を確保したい
どちらを選んでも、現代の住宅基準として十分な断熱性能を持つ製品です。悩む場合は、住んでいる地域の気候と、断熱・デザイン・費用の3軸のうち何を最も重視するかを先に決めると、判断がスムーズになります。

よくある質問
Q. サーモスXはもう買えませんか?
サーモスXは2022年春に販売を終了しています。LIXILでアルミ樹脂複合窓を検討する場合は、後継製品のハイブリッド窓TWが対象です。TWはサーモスXより断熱性能が向上しており、トリプルガラス仕様の熱貫流率は0.98 W/㎡·Kです。
Q. APW330とサーモスXの断熱性能はどのくらい違いますか?
トリプルガラス仕様で比べると、APW330(真空トリプル)が0.99 W/㎡·K、サーモスX(クリプトンガス入りトリプル)が1.03 W/㎡·Kです。数値の差は小さいですが、小さいサイズの窓ではアルミを含むサーモスXの方が性能低下が大きくなる点が実態上の差として現れます。
Q. リフォームで窓を交換するとき、費用の目安はどのくらいですか?
カバー工法での交換費用は、腰高窓が15〜30万円、掃き出し窓が35〜45万円程度が目安です。窓サイズや施工業者によって変わるため、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。補助金制度を活用すると実質負担を大幅に抑えられる場合があります。
Q. 購入した中古住宅にサーモスXが付いています。そのまま使えますか?
サーモスXは現在も十分な断熱性能を持っており、日本の高断熱住宅基準に照らしても一定の水準を満たしています。設置から年数が経っている場合は、複層ガラスの封止材やパッキンの劣化確認をおすすめします。断熱性能に不満を感じるなら、内窓の追加やカバー工法による外窓交換を検討する価値があります。
Q. APW330とサーモスX、どちらが価格は安いですか?
一般的に価格差はほぼないか、APW330の方が同等以下になるケースが多いです。断熱性能はAPW330が上回るため、コストパフォーマンスの観点ではAPW330を選ぶ合理的な根拠があります。ただし大開口窓ではTW系しか対応できない場合があり、設計条件によって選択肢が絞られることもあります。
リフォーム・リノベーションを検討している方へ
今日ご紹介した窓サッシなどの住宅設備は、定価こそありますがその価格はリフォーム会社(販売施工会社)の仕入れ力に大きく左右されるところがあります。
いざ見積もりを取ってみると、定価で比べると高かった製品の見積もりと安い製品の見積もりとほとんど価格差がない、あるいは安く出るなんていうこともあったりします。
実際に私も諦めかけていた樹脂製窓サッシの見積もりをダメもとで相見積もりで取ってみたところ、複合サッシより安い価格で設置できることがわかったということがありました。
これからリフォーム・リノベーションを検討される方は少し手間でも、ぜひ複数社で相見積もりを取ってみることをお勧めします。
