ショールームで両方見てきたけれど、どちらにすべきか決められない。そんな声をよく聞きます。クリナップ セントロとタカラスタンダード レミューは、どちらも「長く使える高耐久キッチン」をうたうハイエンドモデル。しかし素材の思想がまったく逆で、選ぶべき人の像もはっきり分かれます。
セントロはキャビネットの骨格までステンレスで作る「プロのキッチン」。レミューは鉄とガラス質を850度で焼き付けたホーローで全面を覆う「清潔を維持しやすいキッチン」。同じ高耐久でも、何に強いかが根本から異なります。
この記事では、素材の違いが実際の暮らしにどう影響するかを軸に、リフォームで選ぶときの判断基準まで整理します。
こんな人はセントロ・こんな人はレミュー
クリナップ セントロがおすすめな人
- ステンレス製品の質感・清潔感が好きな人:骨格からオールステンレスの密閉構造は、木材キャビネットでは避けられない湿気やにおいの問題を構造的に解決します
- カビや害虫対策を最優先にしたい人:隙間のない全面ステンレス構造はゴキブリなどが住みつきにくく、中古住宅リノベーションで特に重視される方に向いています
- スタイリッシュ・工業的なデザインが好きな人:扉カラーは41種類で、無機質なプロのキッチン感を出したい方には唯一無二の選択肢です
- 長期20〜30年の耐久性を重視する人:ステンレスは錆・腐食・変形に極めて強く、長期使用を前提にすればコスパは十分成立します
タカラスタンダード レミューがおすすめな人
- 毎日の掃除の手軽さを最重視する人:ホーローのガラス質表面は油汚れが染み込まず、水拭きだけで落ちます。「料理するたびに汚れが気になる」方には特に向いています
- マグネット収納でカスタマイズしたい人:キャビネット扉・引き出し内・壁面すべてに磁石がつきます。収納レイアウトを後から自由に変えられるのはレミューだけです
- リビングと調和するカラーを重視する人:扉は32色展開で木目・石目の柄も豊富。開放型・対面型キッチンでリビングとの一体感を出したい場合に選択肢が広がります
- 予算をセントロより抑えつつ最上位クラスを選びたい人:レミューは本体価格の入り口がセントロより低く、同グレード感でコストを抑えやすいです
素材の根本的な違い:ステンレス vs ホーロー
両製品の差は表面素材だけの話ではありません。キャビネットの骨格そのものが別素材です。ここを理解しないと、比較の意味が薄れます。
セントロのキャビネットはクリナップ独自開発の「NSSC FW1®」というステンレス素材で、天板から側面・底面・骨格まで全面を覆います。木材は一切使用しない密閉構造で、湿気やにおいが入り込む隙間がありません。「カビが生えた」「引き出しの底が腐った」というよくあるキッチントラブルとは無縁の設計です。
レミューは、鉄板にガラス質を約850度の高温で焼き付けるホーロー加工を採用。引き出しの内部・扉の裏面まで全面ホーローで仕上げています。ガラス質の緻密な表面は汚れを吸着せず、においも染み込まないため、「拭けばきれいになる」状態が長く続きます。磁石がつくのも鉄素材ならではの特性です。
どちらも30年以上の耐久性を想定した設計ですが、弱点の種類が異なります。ステンレスは水垢・指紋が白く残りやすく、細かいキズがつきやすいです。ホーローは表面への衝撃に注意が必要で、重い鍋を落とすとコーティングが欠けることがあり、欠け箇所から錆が発生するリスクがあります。
どちらが「丈夫」かより、どちらの弱点なら許容できるかで選ぶほうが、後悔が少ないです。

天板・シンクの性能を比較する
天板は毎日の調理で最も目に入り、最もハードに使われるパーツです。両製品の選択肢は大きく異なります。
セントロの天板
セントロは4素材から選べます。ステンレス・アクリストン(人工大理石)・フォルテックス(硬質アクリル系)・セラミックの4種類で、特にステンレス天板には「美コート」という加工が施されており、油汚れが水だけで落ちる仕様になっています。
シンクはスタイルによって異なり、B-styleでは水の流れる方向に傾斜とレールがある「流レールシンク」、C-styleではシンク横にデッキが一体化した「クラフツマンデッキシンク」から選びます。どちらも「水回りを使いやすく・掃除しやすく」という設計思想を持ちます。
レミューの天板
レミューにはセントロにはない選択肢として、クォーツストーン天板があります。クォーツストーンとは天然水晶を主成分とした人造石で、硬度・耐熱性・耐傷性に優れた高級素材です。この素材はレミューのみで選択できるもので、天板の選択肢という点ではレミューに分があります。天板の合計カラー数は14色展開。
シンクは5種類から選べ、家事らくシンクは3層構造で1kgの鋼球を80cmの高さから落としても割れない耐久性が特徴です。静音仕様になっているのもポイントで、食器洗いの音が気になる方には選びやすい選択肢です。
収納・使いやすさを比較する
この章が、日常の使い勝手に最も直結するかもしれません。
セントロの収納はオールスライド引き出しが基本で、ツールコンテナと呼ばれる専用の内部仕切りシステムが充実しています。引き出しのレール精度が高く、重い鍋を入れてもスムーズに動きます。収納の「量と精度」を重視する方向きです。
レミューの最大の差別化ポイントは磁石収納です。キャビネット扉の内側・引き出しの壁面・キッチンパネルのいずれにもマグネット用品を工具不要で取り付けられます。よく使う調理器具をドア裏に貼り付ける、子どもの成長に合わせて収納位置を変える、引き出し内に仕切りを追加するといった変更を、工事なしでできるのは大きなメリットです。
正直に言って、磁石収納の自由度は使い始めてから「もっと早く知りたかった」と感じる機能のひとつだと思います。リフォーム完了後に「やっぱりここにラックを追加したい」という場面は必ずあるので、後から変えられる仕組みは実用的です。
また、レミューは幅のサイズ展開が180cmから360cmと広く、セントロの225cm〜300cmより小さいキッチンにも対応できます。コンパクトな間取りの中古住宅にも設置しやすいです。

価格帯・グレード構成を比較する
価格差が生まれる理由は、素材コストと製造工程にあります。
ステンレスは加工・溶接のコストが高く、特にセントロが採用する次世代ステンレス「NSSC FW1®」は耐食性と加工性を高次元で両立させた特殊鋼材です。全面を1枚板で包む密閉構造にするほど加工コストは上がります。
ホーローは焼き付け工程が必要で、これも安価ではありませんが、素材そのものの調達コストはステンレスより抑えやすい面があります。
| 比較項目 | セントロ | レミュー |
|---|---|---|
| 本体価格の入り口(I型) | 約127万円〜(税別) | 約64万円〜(税込) |
| ハイエンド構成(I型255cm) | 約200〜278万円(税別) | 約198〜212万円(工事費込み) |
| 工事費の目安(標準) | 20〜22万円 | 20〜22万円 |
実勢価格はメーカー希望小売価格から20〜40%値引きされることが多く、工事業者・ショールームの見積もりで大きく変わります。必ず複数社から相見積もりを取ることをおすすめします。
キッチンリフォームのグレード別費用相場はこちらの記事で詳しく解説しています
リフォームで選ぶときの判断フロー
Step 1:現在のキッチンサイズと間取りを確認する
まずキッチンの幅・奥行き・高さの現寸を確認します。セントロは225cmからなので、現在のキッチンが180〜210cmの場合はレミューしか対応しません。間取りを変えず既存スペースに収める場合は、サイズ展開の広いレミューのほうが選択肢が広いです。
Step 2:排水・ガス・電気の現況を把握する
キッチン位置を変えない同位置交換であれば工事費は標準的ですが、シンク・コンロの位置を変えたり、IHへ切り替えたりする場合は追加工事が発生します。IH化を検討している場合は電気容量(200V対応)の確認も必要です。
Step 3:工期のスケジュールを確認する
システムキッチンの標準交換工期は2〜5日程度です。ただし商品の発注から工事完了まで約2ヶ月かかることが多いため、引越し・生活スケジュールと照らして余裕を持って進める必要があります。
Step 4:ショールームで必ず実物を確認する
この2製品は実物を触らないと判断できません。ステンレスの質感・水垢の目立ち方・引き出しの動きとレミューのホーロー表面の触り心地・磁石収納の操作感は、カタログ情報だけでは伝わらないからです。クリナップとタカラスタンダード、どちらも全国にショールームがあります。
同じステンレスキャビネット vs ホーローの比較は、ステディア vs トレーシアの記事も参考になります
まとめ:セントロ vs レミュー 比較一覧
| 比較項目 | セントロ | レミュー |
|---|---|---|
| キャビネット素材 | オールステンレス(NSSC FW1®) | オールホーロー |
| 主な強み | 密閉構造・防カビ・害虫対策 | 磁石収納・油汚れが落ちやすい |
| 天板の選択肢 | ステンレス・人工大理石・セラミック | クォーツストーン・人工大理石・ステンレス |
| 扉カラー数 | 41色 | 32色 |
| 幅サイズ展開 | 225〜300cm | 180〜360cm |
| 清掃性 | 水垢・指紋が目立ちやすい | 油汚れは水拭きのみで落ちる |
| 収納カスタマイズ | スライド精度・ツールコンテナ | 磁石収納(後から変更可) |
| 価格の入り口(I型) | 約127万円〜(税別) | 約64万円〜(税込) |
よくある質問(FAQ)
Q1. セントロとレミューはどちらが高いですか?
入り口価格はレミューのほうが低く、セントロのほうが全体的に高い傾向があります。ただしレミューの最上位グレード(クォーツストーン天板・工事費込み)では200万円超えも珍しくなく、グレードの組み合わせによって逆転することもあります。同じ仕様条件でショールームに見積もりを依頼して比較することを勧めます。
Q2. ホーローキャビネットとステンレスキャビネットはどちらが長持ちしますか?
どちらも30年以上の耐久性を想定した設計で、単純にどちらが長持ちとは言えません。ステンレスは錆・腐食に極めて強く湿気に対する構造的耐久性が高いです。ホーローは衝撃によるコーティングの欠けに注意が必要で、欠けた箇所から錆が発生することがあります。使い方・お手入れの習慣に合った素材選びが長持ちの秘訣です。
Q3. タカラスタンダードのレミューは磁石が使えますか?
使えます。レミューのキャビネット扉の内側・引き出しの壁面・キッチンパネルすべてに磁石が付きます。市販のマグネット収納グッズを工具不要で取り付け・取り外しでき、収納レイアウトを後から自由に変更できます。
Q4. クリナップセントロはリフォームで設置できますか?工期はどのくらいですか?
リフォームでの設置に対応しています。既存キッチンの同位置への交換であれば工期は2〜5日程度が目安です。ただし商品の受注から手配・工事完了までのトータルスケジュールは約2ヶ月かかることが多いため、早めに計画を立てることを推奨します。
Q5. セントロとレミュー、ショールームで確認すべきポイントは何ですか?
セントロでは「ステンレス天板の水垢の目立ち方」「引き出しの開閉の重さ・音」「美コート加工の汚れ落ち」を実際に試してください。レミューでは「ホーロー表面の触り心地・掃除感」「磁石収納の操作性」「クォーツストーン天板の質感」の確認が重要です。どちらも展示キッチンで実際に引き出しを開閉し、シンクを触ることで、カタログでは分からない使い勝手が見えてきます。
